増える信託受益権取引 知っておきたい基礎知識(中) 第二種金融商品取引業協会参事 衣川信行 第二種金融商品取引業とは 宅建業より、ハードル少し高め
住宅新報 2018年7月24日 号 5面
まれなことですが、マンション1室の取引をしようとして登記簿を確認したところ、権利の種類が「信託」になっていることもあります。この場合、登記簿に信託目録が付されていて、委託者、受託者、受益者、信託の内容等を確認することができます。
信託受益権は有価証券と位置付けられていますので、売買取引をする場合には宅地建物取引業法に基づく手続きではなく、金融商品取引法に基づく手続きを行う必要があります。そして、この取引は、第二種金融商品取引業(以降「二種業」といいます)の登録をしている業者でないと取り扱いができませんので、注意をしてください。
金融商品取引法の罰則では、登録をせずに業を行った場合、5年以下の懲役または500万円以下の罰金または併科というように、重いものになっています。
過半が不動産関係
現在、全国で約1100社が二種業の登録をしていて、その中で第二種金融商品取引業協会に加入している業者は、18年7月2日現在477社います。協会に加入している業者の業態別内訳を見ると、その54%が不動産関係の業者で、金融商品取引法に基づいた投資運用業や助言・代理業も併せて登録している業者が99社、二種業だけが157社となっています。
二種業だけ登録している不動産関係の業者は、事業用不動産の仲介などを行っている宅地建物取引業者が多く、ディベロッパーや買取再販業者なども含まれていますが、多くは小さな会社です。不動産信託受益権の売主や買主、仲介者という立場で、業として売買取引を行うために二種業の登録をしています。
投資家保護が目的
金融商品取引法は、投資家保護という観点に重きを置いています。
このため、顧客をすべてプロかアマに区別しなくてはならない、顧客カードにより投資目的や経験などを確認しなくてはならない、アマ顧客へ交付する帳票が宅地建物取引業に比べて多いなど、独特な手続きがあります。
会社の体制としても、営業・管理・監査の各部門に応じた業務管理体制の整備や、取引時の審査体制などが求められています。
また、自主規制団体である第二種金融商品取引業協会への加入、または協会と同等の社内ルールや管理体制の整備も求められています。このように、宅地建物取引業に比べて、少し高めのハードルが設けられています。
きぬがわ・のぶゆき=三井不動産リアルティ(株)にて、新築営業、法人仲介営業、個人仲介営業、営業管理部門などに従事。15年一般社団法人第二種金融商品取引業協会に入社。金融庁認定の自主規制団体である同協会で、研修、不動産信託受益権関係の帳票や解説の作成などに従事。著書に『不動産業 独立・開業と実務ハンドブック』『中古住宅の買い方・売り方』など。宅地建物取引士、不動産コンサルティングマスター。























