明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第239回 小さな窓がある家 美しく見せる工夫も必要 朽方勇祐 不動産学部2年
住宅新報 2018年6月19日 号 4面
【学生の目】
最近、窓を小さくしている家をよく見かける。先日、千葉県柏市で一つのアパートが目に留まった。濃い藍色の壁面に対して小さな窓がぽつぽつとあるアパートだ(写真)。アパートの窓というと、一住戸に大きな窓が二面ほど設置されることが多い。採光と換気、さらには眺望の確保に効率が良いからであろう。では採光が途切れ途切れになり、換気のための開閉の手間が増える小さな窓をたくさん設置する理由はなんだろうか。
調べると大きく二つの理由があるようだ。1つは工事費の削減である。多くの製品と同様、窓も同じ材質で同じ大きさのものを大量に仕入れた方が安いため、なるべく同じ窓を用いる。またサッシは壁の工事費より高いため、サッシを狭くして壁の面積を広くすることが工事費の減額につながる。
もう一つは断熱性の向上のためである。断熱材を充てんした壁に比べて窓は断熱性が低く、夏は窓付近の室内温度が高くなって冷房を強く、冬は室内温度が低くなって暖房を強くする必要がある。その結果、光熱費が高くなる。窓の面積を小さくすることで、建物全体の断熱性能をよりよくできる。
小さな窓にすることにはメリットがあるのだが、写真の建物に関しては残念に思う所がある。まず窓の並べ方だ。日本の住宅は部屋ごとに部屋の広さや使い方を重視して窓をつける結果、外から見ただけで部屋の用途が推測でき、家の間取りがおおよそ分かってしまう。写真の住宅でも、やはり間取りは想像できてしまう。
次に窓が小さいことに加えて形状に力強さがないために、デザインの面で寂しさのようなものを感じる。桶樽千個といわれるように、ただ数を多く並べることが良いわけではないが、数と並べ方を工夫することでこの建物の印象は大きく変わるだろう(櫻庭修子「不動産の不思議第208回」17年11月7日号)。
20世紀の建築の巨匠ル・コルビジェは美しく見える黄金比の寸法体系を提唱し、窓の形や目地のつけ方などに用いた。そこで美しく見える寸法をもつ小さめの窓を、より多く並べることを提案したい。小さくすればするほど配置できる場所の選択肢が増え、黄金比にもとづいて配置するなど、デザインの幅が広がるものと考える。更に庇(ひさし)をつけることによって壁面に重厚感を持たせることも可能だ。
【教員のコメント】
妻側住戸は三面開放として価格や家賃が高い。居住の快適性が優れるためだが、その効用を十分に顕在化させる建築士の技量が必要である。また平板となりがちな立面を美しいと感じさせる技量も求められる。賃貸経営の考え方は妻側にも現れる。























