先日の日本マンション学会の大会で、区分所有関係の解消制度の提言が報告されました。解消制度とは、特別多数決議により区分所有関係の解消を行うとともに、その後の「建物解体」「敷地売却」「建物と敷地の一括売却」を円滑に進める制度と定義されています。
区分所有建物は元々、老朽化したら、全員が承諾しない限り、「建て替え」という道しかありませんでした。2つの大震災を経て、被災マンションでは特別多数決議で解体、敷地売却できるようになりました。 更に、耐震性が不足するマンションは、「建物解体」「敷地売却」ができる制度が法制化され、老朽マンションに、「建て替え」以外の選択肢ができた訳です。
でも、壁構造の建物などで、老朽化しても耐震性不足にはならないものもあります。また、建物を壊さないと敷地を売却できないので、建物ごと買い取ってもらうことができません。これを何とかしなければという問題意識は関係者に共通していますが、「区分所有権」の根幹に関わる問題であり、長寿命化のマインドに水を差すことになりかねないので簡単ではありません。
一つの試案として、区分所有権を一定期間保障する考え方を入れ、築50年を経過したマンションに限って5分の4の特別多数決議で、「建物解体」「敷地売却」「建物と敷地の一括売却」を可能とする案が示されました。でも、数字が独り歩きして「50年」が建物の寿命との誤解が広がることを懸念する声が多く聞かれました。築80年まで維持管理していく計画を持っている現状に合わない。マンションの長寿命化のモチベーションを下げる。永住するつもりの高齢者を動揺させるという意見です。
終末期の迎え方
将来、この法案が閣議決定されたときの新聞の見出しが目に浮かびます。「築50年のマンション、5分の4の賛成で解体可能に」。長寿命化を目指してきた管理組合に動揺が走り、相談電話が鳴ります。
更に、築40年過ぎのマンションには、「後10年で住めなくなるから今のうちに売った方がいいですよ」と安く住戸を買いたたく業者が入り込む…。そんな心配も浮かんでしまいます。
長寿命化を目指しつつも、いつか来る終末期の迎え方に関する話し合いを早急に始めなくてなりません。
(マンション総合コンサルティング代表取締役)
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