好業績続く不動産大手5社 けん引役は基幹事業(上) ビル賃貸事業 新ビル、賃料改定が寄与
住宅新報 2018年5月22日 号 1面

企業業績の好調さや働き方改革の推進などで、オフィス需要は堅調だ(東京・日比谷から銀座方面を望む)
大手5社のオフィスを中心とした賃貸事業は18年3月期、建て替えや再開発事業の展開による新規ビルの稼働と共に、既存ビルの賃料改定効果、更に根強い需要による空室率の一層の低下で、各社とも収益を大きく伸ばした。
各社の賃貸事業部門の売上高と営業利益は次の通り。
三井不動産=5581億円(前期比4.0%増)で利益1383億円(同1.9%増)▽三菱地所(ビル事業)=5061億円(同4.5%増)で利益1472億円(同10.2%増)▽住友不動産=3538億円(同4.9%増)で利益1393億円(同10.4%増)▽東急不動産ホールディングス(都市事業)=2698億円(同8.3%増)で利益507億円(同13.1%増)▽野村不動産ホールディングス=1349億円(同17.3%増)で利益352億円(同8.2%増)。全体収益に占める賃貸事業部門の割合が高いのも特徴だ。
空室率更に低下
そして、期末時点の空室率は、三井不動産(単体オフィス首都圏)が2.2%(前期末3.4%)▽三菱地所(丸の内事務所)が1.65%(同2.42%)▽住友不動産(既存ビル)が4.9%(同4.5%)▽東急不動産HDが0.5%(同2.0%)▽野村不動産HDが0.7%(同0.8%)と、数年続く満室状態が加速した状況にある。
一般的にオフィス市場の空室率は5%程度が適当な水準と言われるが、既にその水準を上回り、伸びしろや改善余力のない状態でもある。
18年から大量供給期
だが、東京都心部などで各社が積極的に取り組んでいる再開発事業などが次々と竣工期を迎え、18年度から大量供給時代に突入する。この影響がどう出てくるか。空室率が上昇し、それに伴って賃料が低迷、下落することが考えられるほか、新規ビルへテナントが移動することによる既存ビルでの二次空室、三次空室発生の懸念も残る。新規ビルのテナント内定率が高いことから大きな減速要因はないという見方があるが、どう展開するかは未知数だ。
三菱地所によると、同社の賃貸ビル(全国全用途)の坪当たり月額平均賃料は2万6193円で、前期実績(2万5842円)より351円上昇した。また、東急不動産HDの同平均賃料は2万4410円で前期(2万4210円)より上昇しているが、最近10年間の推移を見ると、リーマンショック前の09年3月期(2万9220円)をピークに下落。14年3月期(2万2190円)を底に持ち直し、現在、その途上にあると言える。
リーマンショック後はテナント獲得競争のため、賃料の引き下げやフリーレントなどの実質値引きが一般的となった。その影響が長引いていたが、ここ数年は回復期。企業業績の好調さや人材確保のためのオフィス環境の整備の動きも手伝って、「賃料アップをお願いしやすい」状況にある。賃料改定では「約6割が増額改定」という声が挙がるなど、既存ビルで収益が着実に上がっていることが、今回の賃貸事業の好調さの大きな要因でもある。





















