マンション管理応援歌No.142 廣田信子の紙上ブログ 高経年マンションの高齢者の不安を煽らないで
住宅新報 2018年5月15日 号 6面

廣田信子さん
最近は、どのメディアでも高経年マンションが危ない、大幅な修繕積立金の増額が必要…と、高経年マンションの高齢者の不安を煽るようなニュースに満ちています。ある高齢女性は、それを見て、年金だけの生活になった時に高額な修繕積立金を払えなくなったら…と不安になりました。そんな時、自宅を売却して、家賃を払えばそのまま住み続けられる「リースバック」の広告が目に入り、思わず電話をすると営業担当者が熱心にやってきました。
修繕積立金値上げの不安と、住み続けながらまとまった現金を手にできる安心に心が動き、すぐに仮契約。重要事項説明に必要な情報請求で理事長が知り、その方に事情を聞くと、当面、まとまったお金が必要な訳じゃないが、将来、修繕積立金の大幅値上げが心配で…と言います。
無知につけ込む
理事長はびっくり!そのマンションはしっかり維持管理されていて、当面修繕積立金の値上げの必要はなく、それは総会でもしっかり説明していたからです。そして、問題なのは、その買取価格です。昨年の取引実績の半分以下なのです。いくらリースバックでもこれではあまりに安過ぎます。高齢女性は、自分の資産の市場価値を知らず、自分のマンションの管理状況も分からず、テレビニュースで煽られた不安と、広告と親切そうなビジネストークで心が動いてしまったのです。
本契約は阻止できましたが、がんばってマンションの資産価値を上げる努力をしてきたのに、無関心な組合員には伝わらないんだ、一律に不安を煽るニュースに影響されてしまうのだ、市場価格の半値以下での取引は、マンション全体の市場価格を下げてしまう…と理事長は怒っています。
最近のニュースは、あまりにも高経年マンションの不安を煽り過ぎると感じます。一口に高経年マンションといっても様々で、本当に心配なマンションはごく少数。大抵のマンションはそれなりに管理されています。修繕積立金の値上げが必要なマンションは多いと思いますが、2倍、3倍にしなければならないようなケースはまれです。借り入れなどの方法もあります。
高齢者にとっては、「安心」こそが一番の価値。だからこそ、高齢者の不安を煽るビジネス手法には注意が必要です。
(マンション総合コンサルティング代表取締役)
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