高層化する木造建築の魅力(下) 日本木造耐火建築協会理事安達広幸 設計マニュアル発行 進化する耐火技術で講習会
住宅新報 2018年5月15日 号 5面
木造マンションを建てる上で必須になるのが、木造耐火の技術である。そしてこの技術とそれを用いた大規模・中高層木造建築の普及を目的として設立されたのが、私が理事を務める(一社)日本木造耐火建築協会である。
木造建築のマーケットを拡大することで地域産木材(国産木材)の需要増加を図り、森林整備、雇用の拡大、地域経済の活性化を推進している。
「3時間耐火」も取得
前々回で紹介した通り、「イニエ南笹口」に使用された木質耐火部材「COOL WOOD」も取り扱っている。この部材は2時間耐火仕様で柱・梁・間仕切壁・外壁・床の国土交通大臣認定を取得しており、更に日本で初めて3時間耐火仕様(柱・梁)の認定を取得した。
RC造やS造と同等の耐火性能を持ち、木造で超高層ビルを建設することを可能にしている。
耐火部材は開発が進んでおり、実例も徐々に増えてきている。しかし、実際に木造耐火建築物の設計を行う上では留意すべき点が数多く残っており、それらの明確な手引書については整備途上にあった。そこで今年の4月に『木質耐火部材を用いた木造耐火建築物設計マニュアル』を発行し(写真)、5月に講習会を開催した。
同マニュアルは、木造耐火建築物を設計、施工する実務者の方の活用に供することを主旨とし、国立研究開発法人建築研究所の監修を得て発行に至っている。
部材の仕様の説明、関連法規等についての解説を取りまとめており、設計事例の紹介、各社団体の取得した認定仕様との組み合わせ、RC造と木造、S造と木造などの異種構造等も示された。
海外事例も紹介
マニュアルでは、海外の高層木造ビルの事例も紹介されている。カナダの18階建ての学生寮で、コンクリートコアと木造による混構造の事例だ。
基礎とエレベーター・階段室等をRC造で構築して地震や風による水平力を受け持ち、鉛直荷重を木造の柱で支えている。コア以外は木材を多用し、木質感あふれる構造となっている。
このように、高層化のためには木造だけでなく他の構造との混構造を考えていく必要がある。建物の両側をRC造とし、木造部分を挟み込んで木造の大空間化や高層化を図る事例もある。
前回まで説明してきたように、木造には住み心地の良さや工期の短さといった様々な利点がある。設計・施工技術も整備が進んでおり、建設費の面でも、中高層建築の事例が増えていくことでノウハウが蓄積され、より建てやすくなっていくのではないだろうか。
これから、木造マンションは日本でも魅力的な市場として期待できるといえるだろう。〈了〉
あだち・ひろゆき=(一社)日本木造耐火建築協会理事、シェルター常務取締役。89年東北工業大学工学部建築学科卒、シェルター入社。09年木質耐火部材「COOL WOOD」を開発し、15年には「第6回ものづくり日本大賞製品・技術開発部門特別賞」を受賞。一級建築士。























