不動産取引現場での意外な誤解 借地条件に違反すると契約は解除されるか?
住宅新報 2018年3月27日 号 8面
連載: 不動産取引現場での意外な誤解
Q 前回の記述の中に、地主はその土地を賃貸するにあたり、借地人に対し、その借地上の建物を他に賃貸したり、アパート経営をすることを禁止することができる。そしてそのような場合に、禁止特約の付いた借地権の譲受人がその解除を希望するときは、裁判所にその「借地条件の変更」を求めることができると書いてありました。
A その通りです。そのような「借地条件の変更」を求める裁判においては、通常、借地人に対し、一定の金銭上の給付すなわち承諾料の支払を命ずることによってその変更が許可されることが多いようです(借地借家法17条3項)。
Q もし借地権の譲受人が、そのような「借地条件の変更」の裁判も経ずに無断で借地上の建物を第三者に賃貸したり、アパート経営を継続したりした場合には、借地契約は解除されてしまうのでしょうか。
A 必ずしもそのようなことはないと思います。なぜならば、「借地条件の変更」の許可を受けないで行ったことが、一概に契約解除に該当するほどの地主に対する「背信的行為」になるとは限らないからです。
Q それでは、その地主に対する「背信的行為」に該当するケースというのは、どのようなケースなのでしょうか。
A 「借地条件の変更」のケースというより、より背信性の高い「借地権の無断譲渡」と「借地の無断転貸」の例で、逆に背信性が認められなかったケースでお話しますと、次のような裁判例があります。
まず、借地の無断賃借権譲渡または無断転貸につき、「背信的行為」と認めるに足りない(信頼関係を破壊するに足りない)特段の事情があるとして賃貸人の解除を認めなかったケースとしては、最初に、僧侶個人が所有する借地上の建物を宗教法人の設立に伴い同法人に所有権を移転したケース(最判昭和38年10月15日)がありますが、その他にも、借地人が同居の親族に借地上の建物を建築させたケース(最判昭和40年6月18日)、借地人が親族に借地上の建物を贈与したケース(最判昭和40年9月21日)、個人が賃借している土地を、個人企業から会社組織に改めたうえで同社に使用させたケース(最判昭和43年9月17日)、離婚に伴い、借地上の建物の所有名義を妻にしたケース(最判昭和44年4月24日)などがあります。
渡邊不動産取引法実務研究所
代表 渡邊 秀男
























