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スタンダード会員限定不動産業から続々参入 ホテル事業、競争激化 売り上げ鈍化傾向も

住宅新報 2018年3月6日 号 1面

トーセイが昨年12月に開業した「トーセイホテルココネ神田」

トーセイが昨年12月に開業した「トーセイホテルココネ神田」

明確な特徴持たせる

 ここ数年、不動産業界からもホテル事業への参入が相次いでいるが、最近は特に、顧客層やサービスに明確な特徴を持たせたタイプが目立つ。

 コスモスイニシアは中長期滞在型でホテル事業に乗り出した。「ミマル」のブランド名で、第1弾を2月、東京・上野にオープンした。「ミマル」のコンセプトは〝暮らすように滞在する〟。同社によると、現在外国人旅行者の6割が家族や友人などのグループで訪日しているものの、1つの部屋に4~5人が滞在でき、キッチンや調理器具、ダイニングなどを常備したタイプのホテル数は十分でないという。そこで、交通利便性が高い立地を選び、全室4人以上でも快適に過ごせる広さ(40m2以上)の客室で構成していく。ホテル供給が加速する中、こうした市場に事例の少ないタイプで差別化を図る狙いだ。

 第1弾の「ミマル東京上野ノース」(全40室)は、JR上野駅から徒歩8分の立地。築25年のオフィスビルをコンバージョンした。

 同社では今後、都内や京都などで開発を進め、20年までに1500室の稼働を目指す。運営は、一部提携企業との共同運営もあるが、原則として昨年10月に設立した子会社、コスモスホテルマネジメントが担う方針だ。

 また、トーセイは昨年12月に第1号物件「トーセイホテルココネ神田」(東京都千代田区)を開業した。この3カ月間の稼働率は80%を達成しており、当初の想定を大幅に上回っている。

 室内には、日本の良さである四季を感じられるインテリアやアロマを採用。女性専用フロアを設け、美容家電やアメニティを充実させているのも特徴だ。更にベッドはスタンダードフロアでもセミダブルとし、小さい子供との添い寝もできるサイズ。JR神田駅から徒歩3分の立地で、ビジネスから観光まで幅広い需要を取り込んでいる。

 同社も、運営を専門会社に任せるのではなく、直接ニーズを把握できるように自ら運営会社を設立している。

 同社では今後の市場について、政府が観光立国に向けた施策を進めていることもあり、当面は旺盛な需要は続くと見る。一方で参入企業が増え、競争は激化。多様なタイプの民泊も登場してくると、宿泊者側の選択肢は更に広がる。「価格やサービス面など、顧客のニーズを見定め、それにマッチしたものを提供していくことが必要だ。トーセイグループの総合力を生かしていきたい」と話す。都内を中心に20年までに更に3棟を開業する予定だ。

先発大手、多店舗化を加速 事業領域拡大で新規運営も

 大手不動産会社のホテル事業は、かつての大型ニュータウンやリゾート開発の地域基盤施設として、更に総合生活産業として事業領域を広げるための分野と位置付けて参入することで始まった。

 施設開発だけでなく、運営事業でも着実な成果を上げたことが、多店舗展開の契機にもなった。昨今は再開発が街づくりの中心となり、(1)地域活性化に不可欠な文化・交流施設となっていること、(2)訪日外国人の増加が新たな事業機会の創出につながること――が事業を加速させる要因のようだ。

 先発組の三井不動産は「三井ガーデンホテルズ」ブランドで現在、全国20施設(5337室)を運営。計画中の7施設が18年から19年度にかけて順次開業する。ほかに「ザセレスティンホテルズ」(3施設)やリゾート施設などがある。また、三菱地所の「ロイヤルパークホテルズ」は現在、国内8施設(2434室)だが、それに続く5カ所の計画を公表。21年秋には13施設、約3500室に拡大する。

 住友不動産は都市型の「ヴィラフォンテーヌ」15、リゾート2の計17施設で約2700室を運営。新規施設として現在、都内で「羽田」(1700室)と「有明」(800室)を推進中。稼働すると、運営規模は倍増する予定だ。東急不動産は会員制ホテル「ハーヴェストクラブ」(全国24カ所、会員約2.5万人)と、都市部の滞在型ホテル「東急ステイ」(19カ所、2735室)を開発・運営中。2ブランドの多店舗化を展開する一方で、賃貸事業用のホテル開発も推進している。

 これまで施設はつくっても運営は手掛けなかったのが野村不動産だが、昨秋、運営会社を設立。今秋、「ノーガホテル上野」(台東区)を開業して参入する。また、東京建物はリゾートホテルの開発・運営には実績があるが、都市型ホテルは「事業機会の創出」を目的にした開発事業だけ。昨秋開業した「東京六本木」を含め、現在首都圏、近畿圏の5カ所で事業を推進中だ。

「体験」の質が運営の鍵に

 CBREの特別レポート「2020年ホテルマーケット展望」によると、全国主要8都市(札幌、仙台、東京、名古屋、京都、大阪、広島、福岡)で17~20年に開業予定のホテル客室数は合計で約8万室。これは既存ストック(16年末)の32%に相当し、東京では同31%の新規供給になる見通しだ。

 またホテル事業のパフォーマンスを示すRevPAR(販売可能客室数当たりの客室売り上げ=今週のことば)は14年から上昇基調で推移。15年は主要8都市のRevPARは前年比8~30%の伸びを示した。

 ただ16年以降、伸び率は鈍化し、同社では17年を転換点と位置付けている。その背景には高い稼働率を維持するために、ホテルオペレーターがADR(平均客室単価)を調整したと分析。更に、ADRの上昇に伴うビジネス利用客の敬遠、新規供給による競争激化、民泊やクルーズ泊といった宿泊の多様化が影響。特に17年にRevPARが下落に転じた大阪では、民泊の影響が大きいという。

 主要8都市での新規供給の92%は宿泊主体型ホテル。その5割近くがビジネスホテルで、形態の偏りは顕著だ。モノ消費からコト消費へと移りつつある消費者の動向を踏まえ、同社は「ホテルは、単に宿泊するための『施設』としての機能だけではなく、宿泊そのものの『体験』の質を高める機能も求められる」と展望。差別化戦略として、ブランドコンセプトなどによる独自性の創出に加え、ブティックホテル、ライフスタイル型ホテルなど新しいスタイルの採用も提案している。

 

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