東証一部上場のカチタス社長 新井健資氏に聞く 中古市場活性「人材確保が鍵」 仲介業者と連携、空き家活用へ
住宅新報 2018年1月9日 号 7面

「人材確保が鍵」と話す新井社長
――上場の狙いについて。
社会的信頼と優秀な人材の獲得のためだ。中古リフォーム事業は戸別状況が異なる。成長意欲が高く、まじめな人材を確保し、仕入れから検査、最適なプランの提案までできるよう成長させることが事業の肝だ。空き家問題や地域課題を解決しようという社会貢献の精神も重要となる。
――採用の状況は。
17年4月には当社59人、(グループ会社の)リプライス10人を採用した。今期も当社86人、リプライス22人の計108人に内定を出し、18年4月に入社予定だ。今後も年1~2割ずつ増やしたい。
――他社との差別化は。
戸建て中古住宅の買い取り再販実績では当社がトップで、2位に10倍以上の差をつけている。戸建てのリノベーションはリスクが高く、他社も参入しにくい。当社にはこれまでに約4万戸の買い取り・販売実績がある。毎週約100戸ペースで売買しているため、最新の仕入れ、リフォームのノウハウが実践されている。床下のシロアリ検査や屋根裏の劣化状況、隣戸との境界線などを事前に徹底調査し、ユーザーが安心して住み続けられる環境を担保する。
――最新の販売実績と今期の目標は。
16年度の仕入れ戸数は4678戸(カチタス3699戸/リプライス979戸)、販売戸数は4402戸(同3451戸/951戸)。売り上げは連結で618億円だ。
18年3月期も順調に推移し、二桁成長の680億円は射程圏内だ。成長の要因は3つあり、1つ目は仕入れの安定。前身の「やすらぎ」時代、仕入れの9割は競売のため受注が不安定だったが、現在は空き家を活用する。年間60万戸ずつ増え、足元にも820万戸のストックがあるとされる。築30~40年の空き家は仲介業者がそのまま流通させることは難しいので、当社の出番となる。2つ目は5年前から継続する新卒採用が実を結び、若手が成長の段階に入ったため。3つ目は、事業パートナーとの連携強化だ。仕入れの際はシロアリ駆除業者、リフォーム業者と三者立ち合いで徹底検査を行い、物件のリスクを最小化してきた。
――地方での戸建て販売について、競合や人口減少による成長不安は。
当社は5~30万人規模の地方都市を中心に拡大を目指す。マンションがない立地が多く、顧客が求めるのは戸建てだ。地方の人口減少地域では、手頃な価格の新築分譲を手掛ける事業者が撤退する。緩やかな人口減少であれば住宅ニーズはあるため、当社が受け皿となる。購入層の中心はアパート生活者。家賃内で購入できる適正な販売価格にこだわり、クレームを出さないよう商品の品質を担保していく。
――今後の不動産取引の展望と課題を。
国の施策、ユーザーの意識も伴って、新築から既存住宅へのシフトが加速していく。家というモノの購入から「暮らし」の入手に理解が進む。例えば、月8万円支払う新築物件があれば、当社がリフォームした月5万円の物件を購入し、残った3万円を家具や家族とのレクリエーションに充てる。「暮らしを豊かにする」という選択肢が持てる。
課題は「安心して住めるか」という心理的不安の払拭と、値段以上の価値が提供できるか。国が進める「安心R住宅」は、リスクが高い中古物件の個人間取引では有効だ。ただ、BtoCの当社は、既に2年間の瑕疵担保保証をしており、前出の三者による建物調査など対応は進んでいる。
――昨年4月に提携したニトリとの取り組みは。
1月からニトリの家具付き物件を販売する計画だ。当社がリフォームした物件に合う家具をセットし、家具も含めた住宅ローンが組めるスキームを目指す。当面はエリアや金額帯を定めず、完成物件の中から導入し、「暮らし」をイメージできる価値を提供する。上期中には両社で共同店舗を運営し、新しい顧客接点の場も創出したい。
通過点として、年間売り上げ1000億円、戸数1万戸を目指す。現在の販売戸数は4400戸、販売価格は平均1300万円台のため、年率二桁で成長すれば近い将来に達成できる。そのために、採用と人材育成が肝となる。
16年度の仕入れ実績は、35%が当社CMを見た顧客、65%は地元の仲介業者経由だ。空き家情報をつかむのは地元の仲介業者であり、築古の空き家を流通可能な物件に仕上げるノウハウが当社にある。共にウィンウィンの関係を築けるパートナーとして、空き家問題の解決に取り組める。























