紙上ブログ不動産屋の独り言433 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 「金に汚いと得することはない」 度重なる文句、家主は退去望むが
住宅新報 2017年12月26日 号 7面
以前もこのブログに書いた「金に執着する入居者」のその後の話。駐車場付きの戸建てを借りていたその入居者。車を所有していないので駐車場料金は加算せず貸していたが、業者が外装工事をする際、「この辺りは駐車禁止の取り締まりが厳しいから駐車場を借りておいたほうがいいですよ。うちの駐車場を貸してもいいですけど」と暗に金を要求したり、既に就職しているのに就労支援金(住む部屋が決まらず就職活動ができない人のために行政が契約金と家賃を補助する制度)の期間を延長してもらっていたり、パチンコ店に就職して1カ月で「腱鞘炎になったから」と労災申請しようとしたり、とにかくお金にまつわる話が多い。
家主都合は高額に
先日紹介した「家に鳥が入り込んできたから、入れないよう修理してくれ」と言ってきた人物でもある。何かと損害賠償を求める話をちらつかせていたので仕方なく穴をふさいだが、そのためにヒナ鳥を餓死させてしまったようだ。鳥には申し訳なく、ずっと気分が重かった。
その貸家の隣りに同じ家主さんが所有する音大生向けのアパートがあって、ピアノの音などが流れてくることは事前に説明してあったが、何かと文句を言う。最後は金になるのだろうが、それで家主さんもいい加減嫌気がさしてきた様子。私に「次の更新はしないで何とか出ていってもらえないか」と言ってきた。そうは言っても相手が相手である。いくら要求されるか分かったものではない。
何かと賠償問題
家主さんは、100万円くらいは覚悟していたようだが、そんな人物に1円だって払いたくはないものだ。そこで弁護士に相談してみると、「それは家主都合の明け渡し要求なので、今の家賃が7万5000円だとしても、下手をすれば200万円くらい掛かりますよ」とのこと。
家主さんには「更新までの半年の間に、自ら出たいと思わせる合法的な方法を考えてみます」と伝え、いろいろ策を練っていたところ、例の入居者から退去の連絡があった。何でも「会社の社宅がタダで借りられるようになった」とか。「それは良かったですね」と言ったが、本当に助かったのは他でもない、家主さんと私である。
(坂口有吉不動産・社長)
























