二世帯住宅の展望 〝親子ネットワーク〟を考える 第5回まちづくりに貢献 同居で住宅地の人口を維持
住宅新報 2017年10月31日 号 5面
これまで4回にわたって二世帯の誕生、普及と現在の様相を主に家族関係の変化の側面から書いてきた。今回はこれまでの住まい手側のミクロの視点とは逆の、社会から見たマクロな視点から二世帯住宅の果たす役割を考えてみる。
都市をコンパクト化
かつて4人家族中心に構成されていた住宅地の人口は、子が独立して2人家族化が進むにつれ減少する。二世帯住宅では子世帯が一度親世帯から独立して賃貸住宅に住み、親世帯の家を二世帯住宅に建て替えて戻ってくるケースが多い。二世帯住宅で6人が住む区画が増えれば住宅地全体の人口が維持でき、世代交代もスムーズに進む。また現役世代が増え、税収も見込めることは地方自治体にとって魅力だ。一方で二世帯住宅にしない場合、子世帯は新たに土地を買い住宅を建てるであろう。子育て期中心の新たなコミュニティを形成できる開発分譲地は人気が高いが、新たに子世帯が住む宅地を造成するなら、新たなインフラ投資が必要になり、都市が拡大していく。二世帯住宅の促進は都市のコンパクト化にも寄与できる。
二世帯住宅にすると、親世帯が亡くなった後に活用できない、売ろうとしても売れない、という声を聞くことがある。しかし現在の空き家の典型は、子世帯が別の場所に家を持っており、親が亡くなった後は住む人がなく、売ることもしないケースと思われる。空き家を減らすには単世帯二世帯にかかわらず孫の世代がそこを活用できるかが課題となろう。
築30年の二世帯住宅を調査した際、親世帯が亡くなった場合に空いた部屋の9割は物置を含め何らかの形で活用され、良好に管理されていた。既に4分の1は孫世帯に継承されており、同居単身子の将来意向も含めれば約半分は孫との二世帯になると推測された。地域や家への愛着や利便性の良さが継承意向を高めていた。
活用へ規制緩和も
一方で孫が継承しない場合に備え、親世帯が空いた後の賃貸活用を当初から織り込んでおくこともある。特に親が高齢の場合は築浅で親世帯が空くことが予想され、賃貸活用の必要性は高い。ただ既築の一戸建て住宅を共同住宅に用途変更するのはハードルが高く、より法規制の厳しい用途で当初から設計しておく必要がある。この点はストック活用の障害となっており、空いた親世帯を賃貸活用しているケースは多くない。
二世帯住宅という自立した家族の集住を前提とした住宅のタイプには、家族以外の居住も含めた様々な活用の可能性がある。一定の居住人数の範囲内で安全性に大きな問題が生じないなら、活用できるような法規制上の配慮が今後望まれる。(終わり)(旭化成ホームズ二世帯住宅研究所所長松本吉彦)
松本吉彦(まつもと・よしひこ)=旭化成ホームズくらしノベーション研究所所長兼二世帯住宅研究所所長。1983年旭化成工業(当時)に入社し、二世帯住宅の工事監理、設計を約50棟担当。95年に英国留学後、2004年より二世帯住宅の研究調査に携わり、二世帯を中心とした生活提案商品の企画を担当。著作に『二世帯住宅という選択実例に見る同居の家族』(13年、平凡社)など。一級建築士。東京工業大学、日本女子大学非常勤講師。























