不動産取引現場での意外な誤解 売買編102 抵当権と根抵当権の最大の違いは何か?
住宅新報 2017年10月3日 号 8面
連載: 不動産取引現場での意外な誤解
Q 前回、根抵当権の話しが出てましたが、そもそも抵当権と根抵当権はどう違うのでしょうか。
A 簡単に言えば、抵当権は、その被担保債権が弁済等によって消滅すれば消滅するという関係にありますが、根抵当権の場合は、個々の取引によって担保される被担保債権が特定していないために、個別の弁済等があっても消滅せずに、その「極度額」の範囲内において存続するということです。
Q それで分かりました。根抵当権を設定する取引が「継続的な取引」であることが。
A そういうことです。まさに問屋と小売店の関係のように、1個1個の商品の仕入れごとに抵当権を設定したり、その代金の支払いごとに抵当権を抹消していたのでは仕事にならないからです。
Q それで根抵当権制度が法制化されたのですね。
A その通りです。それまでは古くからの慣行と判例によって利用されてきたのですが、71(昭和46)年の民法改正によって制度化されました。根抵当権の制度は比較的新しいといえますので、実務の上でまだ十分理解されていない点があると思います。
Q それは具体的にはどういう点でしょうか。
A それは、根抵当権が実行(競売)された場合に、普通抵当権の場合と「配当面」でどう違うかという点です。つまり、根抵当権については、前回も申し上げた通り、根抵当権が確定した時点で被担保債権が特定し、担保される元本債権が決まるわけですが、問題は、その元本債権に対する利息や損害金などがどの範囲まで担保されるのか、その確定後の取引において発生した債権については担保されるのかということです。
この点については、前者(確定までの取引によるもの)については「極度額」まで全額担保されますが、後者(確定後の取引によるもの)については一切担保されません(民法398条の3第1項)。つまり、確定時の元本債権に対しては、確定後に生じた利息や損害金も含めて「極度額」まで全額担保されるということです。その意味で、民法375条の規定(競売の際に抵当権によって担保される債権の範囲=満期となった最後の2年分まで)は根抵当権には適用されないということになります。
渡邊不動産取引法実務研究所
代表 渡邊 秀男
























