無いほうがよかったお礼 気遣いはTPOに応じて 紙上ブログ 不動産屋の独り言419 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉
住宅新報 2017年9月19日 号 7面
うちの店はお客様から何かのお礼で菓子折りをいただくことが多い。普段もだし、引っ越しの立ち会い時でも「お世話になりました」といただいたりする。それはとてもあり難いことだが、正直なところ悲鳴を上げている。いただき物の菓子が途切れずに賞味期限に追われ、デパートの物産展などで食べたい菓子を見つけても買えなくなるからだ。そのため、時々入居者におすそ分けしたりしている。だが、いただいてもうれしくない菓子もある。
書類作成依頼で
先日、ある入居者の事情で「会社に提出するための書類を作成してほしい」という依頼を受けた。「結構ですよ」と快く引き受けたら、「手数料はいくらお支払いしたらよろしいでしょうか」と聞く。「当社はそういう手数料はいただいておりませんので結構ですよ」と辞退すると、奥様は「そういうわけにはいきませんよ。ちゃんと取ってください」と言う。何度か「払う」「いらない」の押し問答の後で、「じゃあ、お菓子でも買ってきます。洋菓子と和菓子、どちらがお好きですか」と聞かれた。私も意地になって「とにかく何もいりませんから」と言って、パソコンに向かって書類作成を始めると、ドアを開けて出ていく気配。「さては買いに行ってしまったな」と思ったが、「それならそれで仕方ない。快く受け取るしかない」と思っていた。ちょうど書類が出来上がったところに戻ってきた。渡されたのは和菓子が6個入った小箱。それも高級な菓子でなくお饅頭。それでも、いただいたならお礼を言わなければならないし、次に会った時も忘れずにもう一度お礼を言う必要がある。それをずっと気にしていなければならないのだから正直つらい。
























