紙上ブログ 不動産屋の独り言 418 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 再婚に見た義父の心意気 亡き息子の家庭を思いやって
住宅新報 2017年9月12日 号 7面
当社の管理物件の入居者で、奥様と小さな娘を残してご主人が自殺をしてしまった母子家庭がある。新婚当初はご主人の実家が所有しているアパートに入っていた一家。ご主人は一度就職した後で勉強をし直して一流私大に合格した。だが卒業後の就職活動が思うようにいかず、受けた面接はことごとく不採用。やがてうつを患い、ある日奥様がパートの仕事から帰宅するとご主人はベランダで自殺していたという。その時に奥様が受けた衝撃は察するに余りある。一家の生活を支えるために奥様もパートに出ていたのだし、何より可愛い娘さんもいたのだから。
連帯保証人に
ご主人が命を絶ったアパートで暮らすわけにもいかず、母子は当社の管理物件に入居することになったのだが、その時の連帯保証人には亡くなったご主人の父親がなってくれている。そのことで、義父はお嫁さんには悪感情を持っていないと分かる。肉親がいないお嫁さんに、義父は「困った事があったらいつでも頼っておいで」と声を掛けてくれたとか。それだけでも立派なことだと思うが、そのお嫁さんが再婚することになったとき、まるで自分の娘が結婚するかのように祝福してくれたというのだから、義父は相当に男気のある人のようだ。その話を聞いて私も安堵した。亡くなった息子さんが、というのではなく、下手をすると自分の子育てが失敗しているのを棚に上げて嫁に責任転嫁する義父母だってけっこういるだろうから、こういうケースは非常に珍しいと思う。
























