首都圏新築マンションは回復軌道!?(上) 「手が届く」への転換が鍵に 価格の壁を乗り越える
住宅新報 2017年9月5日 号 1面

復調の兆しが少し見えてきた首都圏新築マンション市場。価格の壁をどう乗り越えることができるか(都内で)
不動産経済研究所の調べによると、7月の首都圏市場は発売戸数が3カ月ぶりに増加(3426戸)。都区内物件が73%を占めて平均価格が6562万円(1m2単価95.2万円)と前年より約900万円も上昇したにもかかわらず、契約率は71.9%(前年比8.6ポイント上昇)と、5月に続く今年2回目の70%越えとなった。価格はまだ高いものの、需要者の選別に対応した供給側の商品づくりや販売戦略などがようやくかみ合ってきたとも見える。
これについて同研究所では「まだ全体的には復調傾向とは言い切れない。今秋以降、大型物件が出てくるので、その動向が今後を占う。都心周辺部は比較的堅調だが、郊外ではまだ厳しい状況にある。交通利便性や環境条件などの立地特性を生かした商品企画か、価格設定かによって売れ行きは異なる。ただ上昇してきた価格は全体には落ち着いてきた」と分析する。
長谷工総合研究所によると、今年1~6月の新規供給物件の平均価格は5884万円と、前年同期比で3.5%上昇した。消費税が8%に引き上げられた14年(5060万円)より800万円余も高くなった。
最も高い東京23区は7159万円(山手エリア9217万円、下町エリア5520万円)だが、前年比で山手が13%も上昇しているのに対し、下町は1%の下落となるなど、エリアによって価格の天井感や、それに伴う調整が始まっていることを示している。
スタイルアクトが四半期ごとに実施している購入予定者への意識調査(7月実施)。3カ月以内に販売センターを訪問した人だけが対象だが、現在の価格を「購入を諦めるほど高い」「ためらうほど高い」と回答した人は合わせて約68%もあった。都内物件検討者に限ると、数値は75%と、その他エリア(58%)を大きく引き離している。
「年収5倍論」は健在
では、一次取得層が購入可能な価格はいくらまでか。年収や年齢、勤務先などで異なるが、「年収800万円世帯なら5000万円まで」とか「年収500万円台では坪単価200万円弱まで」など様々な計算がある。これまでの物差しだった「年収5倍論」は低金利や価格高騰、世帯所得の低迷などで語られなくなったが、今でも不可欠の判断材料の一つである。
それは住宅ローン審査の可否を推し量る目安にもなるためだ。金融関係者によると、最近、審査に通らない事例が増えているという。計算上は可能でも、価格上昇が一線を越えると、需要が大きく減退するという現実を示している。
住宅需要のボリューム層である一次取得層の動向は今後の市場を占う重要な指標である。「諦めかけている」需要者をいかに取り込むことができるか。それは「諦めず」に手の届く〝適正価格〟の商品を増やしていくこと。それが供給側にいま求められる市場活性化への鍵である。





















