不動産市場、先行きにやや不透明感 既存事業拡大と新分野開拓 東急不HD社長兼東急不社長大隈郁仁氏 賃料、価格に天井感も
住宅新報 2017年8月15日 号 4面

大隈郁仁社長
「不動産市場の足元は非常にフォローの風が吹いているが、先行きは不透明になりつつあり、冷える方向にいっているのでは」と見ているのは、東急不動産ホールディングス(HD)社長で4月から東急不動産社長を兼務している大隈郁仁さん。都内で懇談会を開いたときのこと。「東急不動産はHDグループ内で、投資のほとんどとバランスシートの大半を占めているため、投資の失敗や資産の劣化は非常に大きなリスクになる。より一体的な経営を目指した」のが兼務の狙いという。
5月に公表した20年まで4年間の中期経営計画。従前の7年中計の第一段階の3年計画を終えて引き継いだもので、内容は「若干の修正」に留まった。「インバウンドはまだまだ増える、団塊の世代が都心マンションを買う動きは続く、シニア住宅ニーズも強まり、ハーヴェストクラブ事業などコト消費ニーズも強い。こうした状況に対応する既存事業の拡大に加えて、新たな付加価値の創出を目指したい」と力が入る。
新事業の第一弾となるのが昨秋、京都に本社を置き、全国で展開する(株)学生情報センターを傘下に収めたこと。「学生と大学のマーケットを握っていることに着目した。新たな顧客に対して我々が持つ様々な付加価値サービスが提供できれば」と、開発や賃貸事業などで連携による市場開拓に期待を寄せる。
「先行きが読みにくい」状況とは。オフィスなどの投資市場では「購入希望者が多いのに物件が出てこない。賃料はエリアによってまだらで、キャッシュフローを上げにくい状況にあること」を。分譲マンション事業では「需要の強い湾岸エリアでも物件による優劣が出始めていること。価格高騰問題では、一般需要者向けには天井感が出ているが、建築費や土地代などの原価が高いため、簡単には下げられないこと」を挙げた。
不安材料を一つ一つ払しょくできるかどうかが、不動産業界の課題のようだ。





















