紙上ブログ 不動産屋の独り言 397 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 旅仲間から受けた相談 法律順守は当然のこと
住宅新報 2017年4月11日 号 7面
私の旅仲間である看護師長さんから相談を受けた。「同僚が都内の不動産会社で部屋を案内され、申し込んで手付金を10万円入れたんだけど、キャンセルしようとしたら『案内を受けた後でのキャンセルはできません』と言われたとかで、そういうものなの?」という話。
本当にキャンセルできないものかどうか、ということと、おカネが戻ってくるかどうかを心配しているらしい。
キャンセル可能
それで、こう答えた。「案内を受けた後での申し込みはキャンセルできない、というのであれば誰も怖くて案内を受けられないことになりますよね。私も長くこの業界にいますが、そんな話は聞いたことがありません。当然、そんな決まりも法律もありません。第一、宅建業法では手付金、預り金、申込み証拠金等をお客様から預かった場合に、申し込みの撤回があったら、受領した預り金などの返還を拒んではならないことになっていますから、当然にキャンセルできますし、おカネも返してもらえます」
「もし相手の業者が返金を渋ったら『では都庁に相談してみます』と言ってみてください。すぐに返してきますよ」
心情としてはその業者の気持ちも分からないではない。客は結構、無責任で浮気性なものだから、手付金を預かって「申込みの意思を確固たるものにしておきたい」のはよく分かる。数日経ってキャンセルされたりしたらこちらの信用問題にもなるし。実のところ私も「あの時の『とても気に入りました。嬉しいです』というアンタの話はナンだったの!?」と言いたくなることは何度も経験しているし。だが、ダメなものはダメである。そういう法律になっているのだから、素人が知らないことをいいことに押し切ろうとするのはあってはならないこと。
プライバシー侵害も
実はその業者、もう一つ間違いを犯していた。客との商談中の写真を無理に撮らせてもらって無断でHPにアップしているのである。その相談者が後でHPを見たら、「当社で成約したOKさん」と顔出しで載っていて驚いたとか。ま、一種のキャンセル止めのつもりかもしれないが、事前に了解を求めておらず肖像権の侵害である。怖い業者がいるものだ。
(坂口有吉不動産・社長)























