紙上ブログ 不動産屋の独り言 387 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 かつてない最悪の客との闘い(2) ただの病気ではないことに気付く
住宅新報 2017年1月31日 号 7面
引っ越しの当日、家主さんから呼ばれてマンションに飛んで行って私が目にしたのは驚きの光景だった。部屋は2DKなのに、着いたのは大型トラック2台。契約の際に「以前の部屋は3LDKだったのだから荷物は可能な限り処分してくるよう」話しておいたのだが、何も処分せずそのまま持ってきたようで、当然に入りきらない。
大型トラ2台の荷物
引っ越し業者から「どうしましょう、とても入りきらないですね」と言われたので、「かまわないから詰め込んじゃってください。後は本人にやらせますから」と伝えて運び込んでもらったが、それでも部屋の前の共有部に荷物が溢れていた。なるべく早く室内外の荷物を整理と処分するよう約束させたが、片付くまで随分と日にちがかかった。
家主さんからはその後も毎日のように「まだ片付いてないんだけど」との連絡が入り、私が注意はするものの、まるで無視されているかのような状態。それより、一緒に暮らすといっていた娘さんは一向に現れない。家主さんからすれば、「統合失調症といっても娘さんと暮らすなら滅多なことはないだろう」と判断して審査を通したのに、これでは「話が違う」ということになる。それに、単身者であるなら本来はワンルームで家賃の上限も違ってくるハズ。そろそろ私もモヤモヤし始めていたところで事件が起きた。
叫び始めた
入居して2カ月ほど経ったある夜中に、1階の部屋に入居していた男が突然、大声で「ウォー!」と叫び始めたのである。
2階の入居者から電話があったので「静かにするよう」メールで注意したら、その時は収まったが数日して再び絶叫が始まった。今度は明け方である。しかも「カネの亡者の〇〇!」と家主さんの名前を叫び始めた。マンションはワンフロア各1世帯ずつで同じ建物の半分は家主さんの住居になっているから当然に家主さんにも聞こえる。事ここに及んでようやく、ただの統合失調症ではないな、と私も判断した。
その後、再び夜中に叫び始めたので2階の住人が床をトントンと叩いて注意を促すと、窓を開けてワケの分からない言葉で怒鳴られたとのこと。2階の住人はそれが原因でほどなく退去してしまった。
(坂口有吉不動産・社長)
























