『合理性』を評価 ホームズの反響課金制、導入9カ月 更なる進化望む声も
住宅新報 2011年10月4日 号 9面
日本最大級の住宅・不動産ポータルサイト「ホームズ」を運営するネクスト(東京・品川、井上高志社長)が今年1月に、反響課金制度を導入してから9カ月が経過した。従来の掲載物件数に応じた課金方法と比べ、会員会社はどのような評価をしているのだろうか。賃貸が中心の不動産会社2社と売買が中心の会社1社を取材した。そこから見えてきたものは、不動産会社とポータルサイトとの密接な関係にとどまらない。ユーザーと仲介会社との関係を再構築する、その将来像も浮かび上がってきた。
リスクを軽減
JR八王子駅前に本店があるアパマンショップ・エスエストラスト(東京都八王子市、杉本浩司社長)の榛葉淳平統括部長は、「反響課金制度は大歓迎」と両手を挙げて賛成する。
「従来の掲載課金は反応がゼロでも1物件当たり平均数千円払わなければならなかったが、今はそうしたリスクを考えなくていい」というのがその理由だ。
反響課金は、電話またはメールで問い合わせてきた顧客に迅速に対応し、成約率を高めないと、掲載課金よりも無駄なコストが増えてしまう可能性もあるわけだが、同部長は「反応を大切にしなければならないのはどちらも同じ」と言い切る。要は「営業現場の『やる気』の問題だ」と。
業務処理も効率化
千葉県のJR柏駅前(西口)にある賃貸アドバンス(柏市旭町、山崎裕之社長)の平山拓志店長も「効果は上がっている」と話す。
「掲載数が無制限なので問い合わせが増えるのは当然。問題は物件確認などの業務処理だが、ホームズの『ラクづけ』など業務支援サービスを利用しているので効率も上がっている」(平山氏)という。 また、「物件をたくさん載せてみて、従来なら当然だめ(反応は得られない)と思っていたような物件でも意外に問い合わせがあることも分かった」という。
本来は自社HPに
一方、西武池袋線・小手指に本社があり、売買仲介が中心の西武開発(所沢市、田形幸満社長)も、ホームズの反響課金を活用している。
経営企画室室長補佐の松永王将氏にその効果を聞いた。 「住宅はどうしてもシーズンによって成約率に変動があるので、反響課金は合理的な制度だと思う。現に当社の場合、広告代は従来よりも下がっているし、反響単価的には魅力がある」と高く評価している。
ただ、一方で「掲載課金も反響課金も、問い合わせがあった後のお客様の誘導の仕方がすべて」とも話す。
やはり、売買物件になるとユーザーは物件の細かなスペックよりも、どんな生活が実現できるかという部分に大きな関心を抱くので、そうしたユーザーの潜在ニーズをどう引き出すかが営業の核になる、ということらしい。
「実際、当社の統計では、お客様が最初に問い合わせてきた物件を購入する確率は1%しかない。最寄り駅が同じ物件でも6%ぐらいだ。だから、本当は自社のホームページに直接来て頂く方が早いわけだが、現実はポータルサイトを見ているユーザーが圧倒的に多い」
「特に住宅を探し始めの人ほどポータルサイトに行き、不動産会社を1社に絞ってしまうことへの抵抗感が強いので、まずは自社をアピールしやすいポータルサイトを選ぶ必要がある」(松永氏)と指摘する。
営業研修を重視
ホームズの反響課金は賃料や物件価格に対して課金されるため、物件価格が低い郊外をテリトリーにしている業者にとっては得という理解も成り立つ。
平山氏は「反響課金だと掲載される物件数が多くなるので、他社との差別化をどう図っていくかという難しさはあるが、様々な物件を掲載できるため戦略が立てやすいというメリットもある」と話す。柏市は東日本大震災の被害者受け入れを推進しているため、需要は堅調だという。
八王子で複数の賃貸大手会社との競合を強いられている榛葉氏は「賃貸では反響を1件取るのに1万円掛かることもある。成約すれば賃料1カ月分の報酬が得られるので採算は取れるわけだが、メールから来店への誘導率は25%しかない。電話からだと60~70%なので、メール客の成約率をアップさせるのは大変。メールでのやり取りは心理戦ともいえる微妙なものなので営業研修が重要になる」と話す。
『成約課金』もありか
ところで、反響課金制度を取っているのは大手ではホームズだけだが、榛葉氏も平山氏も「課金制度に限らず、ポータルサイトにはいろいろなタイプのものがあった方が、不動産会社にとっては望ましい」としている。
西武開発の松永氏は「反響課金を更に推し進めた成約課金制も考えられる」と話す。そうなれば不動産会社の戦略は大きく変わってくることも示唆した。ただ、そのためにはサイト提供会社が、顧客と不動産会社の商談過程を追跡していかなければならない。
「膨大なシステム投資が必要になるだろうが、成功すれば会員不動産会社の営業姿勢や、クロージング能力を把握し評価することもできそうだ」と同氏は言う。そうしたデータをもとに、物件ではなく不動産会社を紹介するポータルサイトが登場しても面白いのではないか。 (本多 信博)
【反響課金制】とは
ネクストの物件ポータルサイト「ホームズ」では従来、物件の掲載数に応じて料金が課せられていたが、11年1月からは、掲載した物件に対する電話またはメールによる問い合わせ件数に応じて料金が課されるようになった。





















