2017宅建士受験ガイダンス 主要3分野に的を絞った勉強を
住宅新報 2016年11月1日 号 10面
宅地建物取引士は、宅地建物取引業法35条に規定する重要事項説明、その重要事項説明書への記名押印、同法37条に規定する契約内容記載書面への記名押印の3つの業務を行う人です。
宅地建物取引士とは
この3つは、宅建士以外の人は行うことができません。そして、宅地建物取引業を行う人は、この宅建士を一定以上置かなければならないこととされています。
具体的には、本店や支店といった事務所については、従業員5人に1人以上の割合で、案内所等では1人以上の宅建士を置かなければならないことになっています。
これは、消費者にとって契約の重要な部分を説明するには、法律や実務をしっかりと分かっている人がいることが求められているからです。
したがって、宅建士に対するニーズは高く、今年の試験では、試験の申込者が24万5742人、受験者が19万8375人(速報値)と約20万人となっており、資格試験としては屈指の受験者数となっています。
そして、宅地建物取引業に従事している人にこそ取ってほしい資格ということで、業に従事している人は、登録講習を受講して修了すれば、50問中5問が免除されます。
全体のほんの1割と思うかもしれませんが、一般の受験生がこの分野で獲得できる点は3点くらいであり、2点分が確実に上回るということは、かなり差が出ることになります。
最近5年間の試験では一般受験生の合格率に対し、登録講習修了者の合格率は倍近くになったこともあり、受講する人は増えそうです。
宅建試験について
さて、肝心の試験についてですが、例年10月の第3週の日曜日に行われます。例年通りだと仮定すると、17年度の試験は10月15日(日)となります。なお、宅建試験の前の週は体育の日を絡めた3連休があり、最後のまとめに学習時間を十分に使えることができます。
試験形式は、50問4肢択一方式。試験時間は2時間で、午後1時~3時(登録講習修了者は1時10分~3時)。不正行為防止策として、試験時間内は原則として、一切の退出を認めていません。解答方式はマークシートとなっています。試験問題は持ち帰ることができます。
合格発表日は12月第1週の水曜日が通例となっていますが、17年度試験は11月29日(予定)、同時に正解番号と合格基準点などが発表されます。
とにかく主要3分野
前回記したように、宅建試験は50問4肢択一です。その内訳は次表のようになっています。
太枠で囲んだ個所、つまり、権利関係・法令上制限・宅建業法、これらを主要3分野と呼んでいます。50問中42問と8割強の出題ですから、ここを苦手にしていては合格は厳しいものとなります。
権利関係とは
では、各分野について見ていきましょう。まず、権利関係ですが、民法・借地借家法・区分所有法・不動産登記の出題があります。民法は、私人間同士の契約などの取り決めを規定している法律です。
宅地建物取引士は、重要事項説明の中で、物件に付随している権利や法規定を説明する必要があります。そのため、「私人対私人」を規定している民法などが極めて重要なのです。14問中、民法が10問、借地借家法2問、区分所有法、不動産登記が各1問となっています。民法は他の法律の基礎にもなっていますので、特に基本から学習していただきたいと思います。
法令上の制限
法令上の制限は、民法などとは違い、行政法すなわち「公対私」を規定する法律群です。具体的なイメージをつかみにくいため、苦手にしている人が多い分野。出題の内訳は、都市計画法が2問、建築基準法が2問、国土利用計画法、土地区画整理法、農地法、宅地造成等規制法が各1問となっていますが、年によって、変わることもあります。
都市をどうプランニングしていくかを規定する都市計画法、土地区画整理事業を規定する土地区画整理法が受験者を悩ませており、その耳慣れない用語や言い回しに戸惑っている人が多いようです。半面、範囲の狭い国土利用計画法、農地法、宅地造成等規制法は、得点を稼ぐチャンス分野でもあります。
宅建業法
宅建試験の中で最も多く出されるのが宅地建物取引業法(宅建業法)です。表の数字を見ても20問と飛び抜けており、全体の4割を占めます。
宅建業法は、宅建業者や宅建士に関する規定から、一般消費者と宅建業者との取引過程に対する規制など、まさに宅建業の「憲法」とも言うべき存在です。現実的に、この分野では8割は正解したいので、結果的にほとんどの規定を頭に入れなければならないことになります。
ちょっと聞くと大変そうですが、過去に出題された試験問題(過去問)を繰り返し解いていけば、おのずとできるようになります。少しずつ進んでいきましょう。
ここで一つ注意を。宅建業法は今年改正され、一部が1年以内に、残りは2年以内に施行されます。新聞などでにぎわしている「インスペクション」にかかる改正は2年以内施行の部分なので、17年度の出題範囲には入りません。 弁済業務保証金制度などから宅建業者を除外(還付金請求を行えなくする)するなどの部分が1年以内の施行となりますので、17年4月1日までに施行されれば、出題範囲となります。あまり注目されていませんが、重要事項説明において、これまで過去問題では違反とされていた行為が違反にならない項目があります。それらの点については、今後紙上でお伝えしていきます。
その他編
さて、主要3分野以外の出題は8問です。このうち、税法2問と鑑定関連以外の5問は、登録講習修了者は免除となります。登録講習とは、宅建業に従事している人を対象に、実務上必要な知識を学習するものです。通信教育とスクーリングを受講し、修了試験に合格すると、表にある5問が免除されるわけです。
税法と鑑定は例年難問が出題されます。16年度試験では珍しく税法の難易度が過去問と比べて簡単でしたが、毎年そうはいきません。宅建試験に合格するには、まずは主要分野をしっかりと学習することです。そのうえで、その他の分野の得点しやすい個所に重点を絞って、確実に点を稼いでいく姿勢が必要です。
◇ ◇
さあ、一通り宅地建物取引士試験の概要を見てきました。全くのゼロからスタートする人にとっては、語句などで難解な部分があったかもしれません。来週からは「宅地建物取引士受験セミナー」をスタートします。1週間に5問ずつ。簡単な過去問から、難しい問題まで出していきます。一緒に合格まで頑張りましょう。



























