国際競争視野に変わる東京 多様で複合的な街づくり
住宅新報 2016年8月9日 号 18面
都心のオアシス
千代田区紀尾井町。かつて赤プリと呼ばれて親しまれていたグランドプリンスホテル赤坂跡地(約3万m2)に「東京ガーデンテラス紀尾井町」が7月27日、グランドオープンした。オフィス、ホテル、カンファレンスと商業施設が入る36階建て紀尾井タワー、21階建ての住宅棟(紀尾井レジデンス)、旧李王家東京邸を復元した赤坂プリンスクラシックハウス(バンケット棟)で構成する。西武グループが今後の不動産事業のモデルとして取り組んできた複合開発事業(事業者は西武プロパティーズ)である。
ホテル(ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町)は30~36階で全250室。米国のスターウッドと提携し、国際的なラグジュアリーブランドとして運営する。元々緑の多い起伏に富んだ土地で、その形状を生かしながら広場や緑のある空間を整備した。そのところどころにパブリックアート、計9作品を展示して人々の目を楽しませてくれる。以前と比べ、ぐっと開放的で都心のオアシスのような快適な空間に生まれ変わった。
金融街の温泉旅館
千代田区大手町1丁目。大手町連鎖型都市再生プロジェクト第3次事業で4月に竣工した「大手町フィナンシャルシティグランキューブ&宿泊施設棟」。三菱地所が掘削した大手町温泉のある大型複合機能ビル。順次入居が進むオフィス棟に続き7月20日、宿泊施設棟が高級日本旅館「星のや東京」として開業した。グランキューブ内のフィットネスクラブと共に大手町温泉を利用する。金融系企業が集中するビジネス街のど真ん中に誕生した温泉旅館である。
大手町地区では、今年度竣工する三菱地所の「大手町1-1計画B棟」に高級サービスアパートメントが進出することに加え、その隣接地で三井物産・三井不動産が6月に着工したばかりの「OH-1計画」B棟(20年2月竣工予定)には国際的なフォーシーズンスホテルが進出することが決まった。
大手町・丸の内・有楽町のいわゆる大丸有地区ではまだ住宅そのものはないが、外国人ビジネスマンや富裕層、観光客を意識したホテル、旅館、サービスアパートなどの滞在型宿泊機能が増加傾向にある。既に英語対応の医療施設や世界各国からIT分野を中心にベンチャー企業を呼び込み、育成する施設も稼働しており、大会社からベンチャー企業まで幅広く、国際色豊かな街に変身中である。
生命科学の拠点も
東京駅を挟んで反対側に位置する日本橋・八重洲・京橋地区。東京駅八重洲口エリアと、地下鉄銀座線三越前~京橋間はこれから、大手不動産が参画する組合施行の大型再開発などが相次ぐ、注目される再開発エリアの一つだ。
日本橋地区ではこれまで、地元と共に「日本橋再生」を掲げる三井不動産を筆頭に、近隣地権者と共同で進めたビルの建て替え事業や、組合施行の再開発事業で新しいまちづくりが段階的に進められてきた。元々商業とビジネスの街で、銀座から続く中央通り沿いは東京を代表する商業地であり、大型百貨店や老舗店舗が軒を連ねている。
その街に三井不動産が2年前、失われた機能として導入したのが住宅(賃貸マンション)であり、地域の拠り所として復元したのが福徳神社だ。神社は観光名所となり、進行中の事業で隣接地に森も整備する予定だ。
また、日本橋は製薬会社が集中している街でもある。その特性を生かして三井不は6月、生命科学分野の新しい事業創造を図る拠点となる「日本橋ライフサイエンスハブ」を始動した。内外から多くの医療、医薬、大学などの関係研究機関が集まる一大拠点を目指す。
時代と共に失われていった機能を蘇らせながら、将来の新しい発展の芽を育てる。歴史と伝統の街ならではの奥深さが見えるようである。
エリアマネジメント活動 地域活性化と高い公共性も
再開発事業では、将来にわたって続く街の機能と建物の役割を想定し、施設管理・運営といったソフトも重要な機能を担う。地域を活性化させる、地域にふさわしい施設となれるかが問われる。それを主体的に進めようという考え方がエリアマネジメントだ。民間の主体的参画があって初めて実現するものであり、既に全国で取り組みが始まっている。
全国エリアマネジメントネットワーク。全国で活動するエリアマネジメント団体や実践者とその関係者が交流や普及啓発、政策提案などを目的に7月11日、設立された団体だ。東京、大阪、名古屋の大型再開発が進むエリアで活動を行っている団体など、60超の団体・個人が参加。会長には横浜国大名誉教授で、森記念財団理事長、大丸有エリアマネジメント協会理事長の小林重敬氏が就任した。
小林会長は、「これまでのエリアマネジメントは、地域の課題を解決し、地域の持つ資源を活用し、官民連携で街の活性化を行うことが中心だったが、これからは地球環境・エネルギー問題や防災・減災問題などへの対応という、より公共性の高い活動への対応が必要である」と役割の変化を訴える。「組織を支える仕組みや財源に関わる制度が不十分で、対応を官民挙げて行う必要がある」と、今回のネットワーク組織設立の背景を述べている。























