(前号からの続き)
機運の高まりから企業選定までじっくりと状況を把握・研究しながら準備を進めた管理組合。すでに築35年となり設備の老朽化が深刻になり始めていたことから、急いで計画を進めていく必要性が生じました。設計事務所やディベロッパーの担当者と、施工方法や工事金額、建替え中の仮住居などについて協議を重ね、05年に基本構想を策定し、1年かけて居住者(全体・棟別)への説明を行いました。並行して実施した意向調査では入居する住戸に関する問い合わせも多かったため、住戸選定方法についてもコンサルティング会社・ディベロッパーの担当者と協議を重ねました。
一方、建替え事業を行う上で法律上の課題となっていたのは、都市計画法の一団地の住宅施設を廃止することでした。これについては関係法令の法改正がなされるとともに、世田谷区と協議を重ね、一団地の住宅施設を廃止すると同時に、新たに地区計画を設定することになり、05年にそれまで桜上水団地一帯に設定されていた都市計画法による一団地の住宅施設が廃止され、地区計画等の都市計画が決定しました。地区計画の内容として、従前の児童公園面積以上の地区施設等の整備、建築基準法以上の斜線制限を敷地全方位に設定、避難上有効な空地の確保、周辺道路の整備などが定められました。
準備を重ねて迎えた06年4月の建替え決議総会でしたが、全体では賛成が81.9%だったものの、もう一つの成立要件の各棟3分の2以上の賛成が3棟で不足しており決議は不成立。その後実施した第2回目(07年12月)も不成立。すでに築40年以上経過し耐震面でも危険性があったことから、管理組合理事メンバーは反対する権利者に対し、(1)耐震性がぜい弱なこと、(2)建替えにより各棟にエレベーターが設置できること、(3)従前権利者は追加負担なく新マンションに入居できることを地道に説明しました。そして09年9月の建替え決議にてようやく成立に至りました。その後10年に建替組合設立が認可され、11年7月に権利変換計画認可、同年8月には権利変換期日を迎え、団地建物が建替組合所有になったことから管理組合は解散し、権利者は仮住居に転居しました。ただし、解体工事に着手するのはそれから2年後となってしまいました。
2年のブランクの理由は、建替えに反対する権利者らによる建替組合設立認可取り消し訴訟と、建替組合による売渡請求を拒む権利者に対する建物等明渡し訴訟があったからです。
1回目の建替え決議不成立後、管理組合理事会では反対する居住者側と数回にわたり話し合いを行いました。住居選定方法についての理解と、設備の老朽化による危険性・耐震性、高齢化が進む団地の再生に建替えは不可欠だということで説得を試みましたが、理解を得るのが難しく、結果的に裁判にまで発展してしまいました。
裁判の判決が下りるまで2年かかり、そのため着工時期も遅延、仮住まい期間は2年から4年に延長。建替組合理事で旧管理組合顧問は「できれば全員賛成という形にしたかったのが本音。協議を重ねるたびに感情的な摩擦が生じてしまった」と合意形成の難しさを嘆きます。しかし、「高い授業料を払いましたが、融和の心、協調が大切ということに気付かせてくれた。この経験は新しいマンションにも活かされると思っている」と話します。また、問題が起こるたびにコンサルタントやディベロッパー側の担当者に相談し、その都度意見・対応策を提供してもらったことから、「建替えをスムーズに行うには、親身になって対応してくれる外部アドバイザーの存在が不可欠」と指摘しています。次回は建替え内容と、仮住まい中のコミュニケーション方法等を紹介します。乞うご期待!
(取材年月・15年12月)
【マンション概要】
建物名/桜上水ガーデンズ▽所在地/東京都世田谷区▽階数/6~14階建て・8棟▽総戸数/878戸(非分譲住戸356戸含む)▽竣工年/15年▽管理形態/委託管理▽管理会社/野村不動産パートナーズ(株)▽総会開催/毎年6月▽役員数/22人▽役員任期/2年(1年ごとに半数改選予定)























