よく分かる不動産証券化とビジネス活用<第173回> 不動産証券化の現状と将来展望 有識者に聞く 国土交通省土地・建設産業局不動産業課長 海堀安喜氏
住宅新報 2011年10月4日 号 3面
人口減少にはサービスの質の転換を 「需要を新たに創出」
(田辺) 海外投資家からよく言われるのが、スポンサーとファンド(Jリートなど)との利益相反の問題です。すなわち、スポンサーが自分の開発したり所有している物件を、自分がスポンサーとなっているファンドに高値で買わせているのではないかという指摘です。株式投資信託の場合は投資対象(株式)の時価が明確であるのに対し、Jリートのような不動産投資信託では投資対象(不動産)の時価が一つではないことも、そうした指摘の要因になっていると思います。
(海堀課長) 先ほど「適切な形での不動産と金融の分離が必要」と申し上げましたが、不動産市場と金融市場が異なるからと言って、投資家の声を無視するようなことがあってはいけません。投資家保護と不動産の有効活用の両立を図ることが必要です。
ご指摘のあった、スポンサーとファンドの利益相反についても、投資家から見ると、不動産会社の中には、ファンド(証券化)を資金調達の手段、保有物件の出口としか考えていないところがあるというように見えるので、スポンサー重視の運営をしているのではないかという疑念が生まれているのではないでしょうか。そのような投資家の疑念に対しては、不動産会社が自らの問題として、きちんと節度を持った対応をしていかなければなりません。
疑念が解消されない限り、外部運用(ファンドがその運用を外部の運用会社に委託する形態)は信用できないとか、コンプライアンス態勢をもっとしっかりと構築しなくてはならないといった議論がいつまでも続きますし、関係行政庁の検査体制の強化を求めたり、海外の資金が日本から逃げていったりすることにもなりかねません。
(田辺) 人口の減少、少子高齢化、既存ストックの老朽化などといった日本の中長期的な課題に対して、どのように対応していくべきでしょうか。
(海堀課長) 将来的には人口の減少に応じて、需要が減ってくる分野もあるでしょう。しかし、例えば、高齢化が進むことによって、シルバーケア付きマンション、ヘルスケアなどのように、逆に新たに創出される需要もあります。
したがって、不動産業としては、ニーズに応じて提供するサービスの質の転換を図っていくことが大切です。そうすれば、国内需要が急減するようなことにはならないと思います。
ビル、マンションなどの既存ストックの老朽化に対応するため、先ほど説明した不動産特定共同事業法や投資促進のための税制など、多様な手法を用いて、改修、リニューアル、建替えを進めていく必要があります。特に、改修や建替えをするには、新たな資金が必要となるので、長期の低利融資などを創設するとともに、自ら資金を調達せずに、事業と所有を区分し、現在の所有者の現物出資や新たな資産への買換え特例を認めるなどの工夫をすることも考えられます。
このような施策を進め、「飛躍的な成長モデル」を志向するのではなく、「持続可能な緩やかな成長モデル」を目指していくことによって、人口減少などの課題に対応していくことができるのではないでしょうか。
※このインタビューは6月末に行われたものです。





















