不動産取引現場での意外な誤解 売買編(88) 他人の私道に通行権があっても、負担が生じる?
住宅新報 2016年5月10日 号 10面
連載: 不動産取引現場での意外な誤解
Q 前回、他人の私道については、通行権があっても負担が生じることがあるという記述がありましたが、それは私道の所有者が自らその私道の維持管理をしていたり、固定資産税等を負担してることがあるからですよね。
A 必ずしもそうではありませんが、そのようなケースが多いと思います。しかし、私道の所有者にその維持管理や固定資産税等の負担がなくても、一定の負担を要求してくるケースはあると思います。その理由は、その土地(私道)が通行人にとって他人の土地だからです。つまり、その他人も、その土地(私道)をタダで取得したわけではないからです。ですから、他人の私道を通行する土地を売買したり、仲介する場合には、近隣住民がその私道を無償で通行していたとしても、それはたまたま私道所有者の好意で無償通行しているのであって、私道所有者に相続でも発生すれば、必ずしもそうはいかなくなるかもしれません。その点は十分承知した上で取引に入る必要があると思います。
Q それは、近隣住民に通行地役権が認められる場合も同じでしょうか。
A その場合は同じではありません。例えば、分譲地の購入者や地主からの土地の切り売りで宅地を取得した人は、その他人の私道を無償で通行することを条件に宅地を購入しているのが普通ですから、後から通行料等の請求がなされることはまずありませんが、直接の契約関係にない近隣住民については、先の理由から、通行料等の負担が考えられますので、私達宅建業者はその取引する土地の取得経緯を確認する必要があります。
Q ということは、それらの通行地役権を有する近隣住民から宅地を取得した人については、その他人の私道に対して引き続き通行地役権を有することになるのですよね。
A その通りです(現行民法280条、281条、判例)。したがって、この他人の私道の通行に関する問題を総括すると、その私道に対し通行地役権がある場合には原則として無償通行ができ、かつ、その地役権は売買によっても承継されるが、それ以外の場合には、常に売主、近隣住民および私道の所有者にその通行の可否、負担の有無等を確認し取引に入る必要があるということです。
渡邊不動産取引法実務研究所
代表 渡邊 秀男
























