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スタンダード会員限定〝騒音〟逆手に音楽マンション =鉄道4路線の脇で賃貸物件= 「遮音性能」活かした企画 越野建設

住宅新報 2016年2月2日 号 5面

  • 住戸ベランダからの眺め。鉄道線路に面する「騒音ネック」を逆手に取り、線路側を楽器演奏可能なマンションとした

    1 / 2住戸ベランダからの眺め。鉄道線路に面する「騒音ネック」を逆手に取り、線路側を楽器演奏可能なマンションとした

  • 線路側とは反対の建物外観。通常タイプの住戸を用意した

    2 / 2線路側とは反対の建物外観。通常タイプの住戸を用意した

 駅徒歩2分でそれだけでも十分勝負できる好立地だが、ネックとなったのは鉄道線路に面していること。しかも、JR東北本線、京浜東北線、貨物線、新幹線の4路線が走っているため、〝ひっきりなし〟に電車が通過する。当然ながら騒音が問題となるわけだが、そのネックを解消する手段としてオーナーが選んだのが「音楽マンション」だった。基本スペックで遮音性を高めたことによる「鉄道騒音のネック解消」と、他にはない音楽の差別化物件として「高稼働率」の両方が期待できる。騒音のネックを逆手にとった賃貸企画だと言える。

 地上10階建て・総戸数44戸。線路に面している東側を楽器演奏可能な18室とし、廊下を挟んで反対側の西側は26室の通常タイプの部屋とした。立地、ニーズ、収益性などを総合的に考えて全室を楽器演奏可能にする必要はなく、通常タイプと組み合わせた物件に仕上げた。月額賃料は、通常タイプ(30m2)が7.4万~8.4万円、楽器演奏可が(25~30m2)が8.8万~9.6万円で、1万円程度の賃料差を設けた。

演奏音の心配は?

 同社が音楽マンションを建設する際に施す遮音対策は数点あり、代表的なものが「結晶化コンクリート」「二重サッシ」「二重床・二重天井」「室内防音扉」「遮音型換気装置」の採用だ。今回のハイブリッド型では、二重サッシと二重天井、防音扉の点で楽器演奏可と通常タイプとの間に差をつけた。通常タイプの入居希望者から楽器音を心配する声が挙がるのではないかと懸念されていたが、「そのような声はほとんどなかった」(同社企画開発部マーケティングチーム)と言う。「逆に楽器が使えるのだから、防音がしっかりしているのだろうという意見を聞くこともできた」(同)。

 1月23日時点で、通常タイプは全室契約が入り、音楽マンションは残り3室。その3室についてもほぼ契約が固まっている状況だ。

 今回の物件では、駅徒歩2分の立地的な優位性もありオーナーのもとには様々な賃貸建築会社が営業に来たという。その中で、最後の決め手となったのは「将来的な安定稼働」。新築でなくなった時でも他の新築物件と競争できる物件とはどういうものかを考えた場合、何らかの差別化が必要なのは当然だ。通常のマンションと比べれば施工費は高くなるが、最終的に音楽マンションを選択した。「最近、競争力のある賃貸物件とは何かを考えるオーナーが増えている。当社の音楽マンションについて、多くの問い合わせをいただいている状況だ」(同)。

会員組織を立ち上げ

 越野建設では、音楽マンションの認知度を上げる取り組みにも注力している。入居者を対象とした会員組織「音楽マンション倶楽部」を15年3月に立ち上げた。会員数は約300人で、有名楽団の公演チケットなどを定期的にプレゼントするなどしている。今後は、入居者同士の音楽会や交流会、提携店舗での優待制度もスタートする予定だ。また、音楽マンションへの入居希望者に対しては、メール会員への登録で新築物件や空室情報を適宜発信している。100人ほどがメール会員となっており、重要な潜在顧客との位置づけだ。「良い物件をつくるだけでなく、音楽マンションがあるということを多くの人に知らせなければならない。認知度を上げる取り組みは今後も積極的に行う」(同)。

 同社は今春だけで7棟の音楽マンションを竣工する。これまでの物件も含めると、今年中には合計20棟になる見込みだ。

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