利回りは踊り場的状況に 賃料緩やかに上昇継続 不動研・吉野薫氏16年不動産市場予測
住宅新報 2015年12月15日 号 4面
日本不動産研究所の不動産エコノミスト・吉野薫氏はこのほど、都内で「16年の不動産市場」について予測した。骨子として、「利回りは踊り場的な状況に差し掛かる」「概して賃料は緩やかに上昇を続ける」「そのため、資産価格も緩慢な上昇基調が続く」というメーンシナリオを描いた。
その背景として、緩和的な金融環境が継続することから、物件取得意欲の高い状況は変化しないこと。また、不動産投資主体の多様化(海外勢含む)も進むこと――を指摘した。リスク要因としては、景気の先行きに対する不透明感が高まり企業の設備投資意欲が減退すること、不動産の実需にも下押し圧力がかかり賃料の上昇期待が剥落することを挙げた。
1年前の15年予測のメーンシナリオは「オフィスや都心商業などのアセットでは賃料上昇が実感されるようになり、これまでの期待利回り低下の動きを追認する格好に。更に一段の上値を探る展開も」「一方、住宅や物流などのアセットには過熱感が広がり、価格上昇ペースは一服」「利回り確保の必要性から、投資家の関心が及ぶ対象(エリア、アセット)の裾野が更に広がる」としていた。
15年は、(1)主要都市のオフィス賃料は上昇しているが力強さに欠けている、(2)いずれのアセットも主要都市で物件価格は上昇しているがペースは緩やかなこと、(3)大都市圏以外にも投資の動きが広がっている、(4)不動産投資市場を巡る金融環境は健全性を保っている――と総括した。10%弱の上昇を見込んでいた東京のオフィス賃料が実際は6%程度で期待外れだったこと、商業店舗の賃料動向もムラがあり、全般的に上がっているとはいえないと指摘。これを受けた16年は、果たしてシナリオ通りとなるのかどうか。
なお、事前に寄せられた質問項目に対しても見解を示した。
TPPが与える不動産市場への影響は「基本的にはない」こと。20年五輪・パラリンピックと不動産市場については「潮目の変化は18年頃に訪れる」こと。27年のリニア中央新幹線開業が不動産市場に与える影響については「投資機会の創出でプラスに働く」としたほか、不動産市場のリスク要因となる金利動向は「16年中に上がることはない」と述べた。





















