都市機構 団地の『第一印象』重視へ 大谷幸生・新技術調査室長に聞く
住宅新報 2011年9月6日 号 5面
――部門の業務内容は。
「住宅技術全般の取りまとめを担う。従来は新規住宅の企画・設計が主体だったが、時代の要請が住宅管理へ移行しているという現状認識を持って業務に当たっていく。特に全国76万戸のUR賃貸ストックについては、多くが敷地に余裕のある住棟配置であり、また自然環境に恵まれているにもかかわらずその強みを生かし切れていない。子育て世帯を多く呼び込めるよう、団地の価値向上に力を尽くしたい」
――具体策は。
「単なる修繕工事で終わらせず、若い世代の需要に合わせた設備仕様に変えていかなければならない。そうした認識のもと、間取り変更など内装の刷新工事は数多く手掛けてきた。だが、ここで『団地の価値』という原点に立ち返ると、それは居住者が喜びと共に入居し、住み替えの必要が生じたときも『またURに住みたい』と思える住まいではないか。であるなら、団地の第一印象は大切だ。例えば玄関周りに季節の花が咲いていると、それだけで明るくおしゃれなイメージになる。内装と外観、両面からのアプローチが求められるだろう」
――06年から、住棟単位の改修技術開発を目指す「ルネッサンス計画」を実施しています。現時点での成果は。
「多摩平団地(東京都日野市)では民間事業者3社に住棟を賃貸したうえで改修・活用してもらう取り組みを行っているが、うち1つにはシェアハウスを導入した。これまで単身向けとして入居者募集していた部屋を3人に貸し出すことで、高い賃料設定を可能にしている。また別の住棟では、敷地内の駐車場用地を菜園に作り変えた。どちらも『広さ』というUR賃貸の利点を引き立たせる発想。希少性が前提の試みなので、数を絞ったうえで今後は別の団地でも採用したい。またこれらのコンセプトが実現できたのも、民間事業者との提携があったからだ。どのようなスキームなら参入してもらいやすいか、研究していく」
「技術的な分野で言えば、1階部分の床を下げる『低床化』は開放的な空間を作り出すことができ、実用性があると見ている。階高を上げるのは施工難度が高いが、低床化なら工事もしやすい」
「ルネッサンス計画では改修技術の確立を優先しているため、今すぐ実用に供することができるものばかりではない。今後は採算性や騒音問題も考慮しつつ、使える技術を選別していく」























