不動産取引現場での意外な誤解 賃貸借編(73) 事故物件の次の入居者への告知義務は
住宅新報 2015年9月29日 号 11面
連載: 不動産取引現場での意外な誤解
Q 事故物件の問題で、賃貸の場合には、事故後の2回目の入居者には事故のあったことを告知しないという公的住宅の場合の取り扱いがあるようですが、それは、裁判例があったということで、一律にそのような基準を設けているのでしょうか。
A 裁判例があったということはその通りですが、一律にそうしているかどうかは分かりません。ただ、事故が一般的な事故で、その1回目の入居者が、例えば事故後2年以上経過するまで入居していたというようなケースの場合には、事故の「風化」という考え方もあります。裁判所もそのような考え方に立っているようですし、公的機関もそれに準拠しているのではないでしょうか。
Q 取りあえず賃料を大幅に下げてでも1回入居してもらい、その後の入居者には基本的に賃料を元に戻し、事故の話もしないということでしょうか。
A ただし、宅建業者であれば、もう少し厳しい姿勢で対応する必要があると思います。少なくとも、事故物件であることの告知については、1回目の入居者が事故後1年以上経過した物件に入居する場合であっても行うべきでしょうし、いったん入居した後の2回目の入居者に対しても、その1回目の入居者が少なくとも1年以上入居を継続するくらいまでは告知すべきだと思います。
Q 少なくとも事故後2年ほどの期間が経過するまでは告知が必要ですかね。
A そういうことです。例えば、1回目の入居者が、2年契約をしたにもかかわらず、1年程度で退去した場合には、次の入居者にも事故物件であることの告知をすべきです。事故物件であることが次の入居者に分かった場合には、契約解除とか賃料減額等の問題にも発展しかねないからです。
Q ところで、事故物件について再募集するまでに行っておくべきことと、遺族への損害賠償請求について伺いたいのですが。
A 当該箇所の修復と室内の消毒・クリーニングおよびお祓いは、最低限行っておくべきでしょう。ただ、遺族への損害賠償請求については、ケースによっては事実上請求が難しいということもあり、賠償を求めないというのが全体の70%、求めるというのが30%という比率になっています。
渡邊不動産取引法実務研究所
代表 渡邊 秀男
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