点検 不動産投資 宮城大学事業構想学部教授田辺信之 「地方創生」シリーズ23仙台 事業用不動産取引が高水準 アセットブレインズ仙台ネットワーク事務局長佐々木正之氏に聞く
住宅新報 2015年9月8日 号 5面
連載: 点検 不動産投資
――はじめにアセットブレインズ仙台ネットワークの活動内容をお聞かせください。
佐々木氏 当会は地元の不動産会社や大手不動産会社の支店、金融機関、研究機関などの役職員をコアメンバーとする研究会であり、不動産証券化、高齢化対応、企業支援などをテーマに、ほぼ毎月、研究会やセミナーを開催している。セミナーには、毎回80人から150人程度参加しており、そうした活動をベースに、復興に向けた提案なども行っている。セミナー後の情報交換会を含め、メンバーにとっても幅広いネットワークを構築する場としても機能している。
――仙台圏(東北地方)は、震災復興から新たな成長を模索するステージに移行しようとしています。そうした中で、仙台圏の不動産市場はどのような状況でしょうか。
佐々木氏 当会では、公表データに加え、地元でのネットワークを活用して、事業用不動産取引の状況を独自に集計している。把握できない取引もあるので、捕捉率は8割程度だと思うが、市場全体の動きをほぼ掴むことができる。それによれば、08年のリーマンショック後の10年には、事業用不動産の取引件数は42件、取引金額も500億円割れまで落ち込んだが、その後は震災特需もあって着実に回復に向かい、13年には件数で85件、金額で1123億円にまで増加した。14年は復興特需が一段落したこともあって、80件、784億円に減少したが、15年も高水準の取引高(15年4月末までで26件、388億円)を維持している。基本的に金融緩和を背景に、不動産投資市場は活況を呈しているといってよいだろう。
ここ数年間の取引を用途別に見ると、件数ベースでは土地とマンションが各3割、オフィスビルと商業施設が各2割程度を占めており、金額ベースではオフィスビル、マンション、商業施設がそれぞれ2~3割程度を占めている。13年度に物流施設の取引額が195億円に急増したが、その後は落ち着きを見せている。また、ここ2年間の買主の地域別の構成比(金額ベース)を見ると、仙台圏以外の国内と海外の投資家が7~8割を占めている。投資資金が、東京を中心とする大都市圏から、仙台などの地方中核都市へと広がってきている様子がわかる。
買主の構成の変化も興味深い。13年頃までは、私募ファンドは主な売主であり、その出口となっていたのがJリートだったが、最近では私募ファンドが売主としてだけでなく、買主としても登場するケースが増えてきている。これは、私募ファンドがリーマンショック前に取得した物件の売却を終えて、新たな仕込みに入っていることや、新たな投資家が私募ファンドの形態で仙台圏に参入してきていることによるものだ。
一方、ファンドと違って、1件当たりの取引金額は小さいが、一般事業法人が売買に関与するケースが増加しており、売主としても買主としても、2~3割の比率(金額ベース)を占めるようになっている。一般事業法人は、ファンドのように利回り中心の判断ではなく、中長期で見て良質な物件を購入しようというスタンスのところが多い。このことは、CREの考え方が次第に普及しつつあることを示しているとも言うことができ、市場に厚みをもたらしている。 (続く)
ささき・まさゆき=(株)ナカリエステート常務取締役。信販会社・リース会社等勤務後、89年オールライスメーカー、ナカリ(株)グループの不動産事業会社、(株)ナカリエステートへ取締役として入社。98年、専門家50人による資産活用コンサルティング組織「アセットブレインズ仙台ネットワーク」を設立。同時に研究会組織「仙台アセットマネジメント研究会」を立ち上げる。プロジェクトテーマを中心として、定期的に例会やセミナーを開催し、講演会の講師としても活躍中。東北学院大学法学部卒。























