廣田信子の紙上ブログ マンション管理応援歌 No.6 がんばる理事長に潜む危険
住宅新報 2015年8月25日 号 6面
がんばる理事長がふと思う「これだけやったんだからもっと報われてもいいのでは」という考えはかなり危険です。最近、2つとても残念な話を聞きました。業者やコンサルからのバックリベートの問題です。信用をなくし、管理組合と訴訟になり、これまでの貢献が帳消しになるどころか、大きな人生のマイナスを抱えることになります。
どちらも行動力がある理事長でしたが、管理組合のためというより自分自身の評価を求める気持ちが強くなり過ぎていないか…と感じていたのも事実です。最初はマンションのためのはずが、評価が欲しくなり、だんだん外へ出ていくようになり、外からのマンションの評価が自分への評価だと思うようになるのです。
しかし、意外に自分のマンションの人はそれを評価しません。自分への感謝の言葉も、もちろんそれに見合う報酬もない。自分がいなかったらこんなにうまくいかなかったのだから、その分、自分に見返りがあってもいいはずと不満に思うようになります。発注先にも、自分のおかげで仕事があるんだと言いたくなるのです。いけないことだと知っているはずなのに、一線を超えてしまうのは残念です。
「自分のがんばりでここまで経費削減できた」「自分がいたから大規模修繕工事を成功させることができた」というように、理事経験者には、具体的に金銭価値に結び付つく成果を出した功労者はたくさんいます。しかし、その多くはお酒の席で自慢するぐらいで、実際に見返りを求めようなんて思わないのです。自分が属しているコミュニティに貢献できたということで満足しているからです。
金銭的見返り
それでは済まずに、金銭的な見返りがあってもいいはずだという思いが強いと簡単に背任行為に結び付いてしまいます。では、「役員報酬を出せばいいか」というとそんなに単純なものではありません。自分は専門的知識もありこんなに貢献しているのに、輪番制で理事になった人と同じ報酬では納得いかないと、新たな不満が芽生えます。
「金銭的に報われないのはおかしい」と思う気持ちが湧き上がってくるなら、それ以上やらないことです。自分ほどできる理事はいないと思うのはエゴですよ…とソフトに、でもはっきりアドバイスします。本人のためにも、管理組合のためにも。
(マンション総合コンサルティング(株)代表取締役)
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