不動産取引現場での意外な誤解 売買編(76) 改正民法には定義規定が定められるか
住宅新報 2015年1月13日 号 8面
連載: 不動産取引現場での意外な誤解
Q 今回の民法改正の内容を理解するためには、結局のところ、「判例」をしっかり勉強しないといけないということだと思うのですが。
A その通りです。特に今回の改正のポイントになっている点は、ほとんどが最高裁判所の判例や有力な学説がベースになっていますので、そういうことになると思います。そのためにも、常に判例付の六法を用意しておく必要があるということでしょう。
Q しかし、そのもとになっている法律の規定が難しい法律用語で定められている場合には、定義の規定がないと、よく分からないと思うのですが。
A そのために、特に分かりにくい総則編の規定には、かなりの定義規定が定められる予定です。
Q どのようなものがあるのでしょうか。
A 例えば、現行民法には90条以下に「法律行為」という規定がありますが、この「法律行為」という用語の意味内容については、他の編の条文も含めて、どこにも規定がないのです。今回の改正で、その定義規定として「(1)法律行為は、法令の規定に従い、意思表示に基づいてその効力を生ずるものとする。(2)法律行為には、契約のほか、取消し、遺言その他の単独行為が含まれるものとする。」と、中間試案に定められたのです。これで随分と「法律行為」という用語の意味合いがわかりやすくなったと思います。要は、法律行為といのは、「契約」が最も典型的なものであり、それは当事者の「意思表示」によって成立し、法的効力をもつのだということがよくわかると思います。
Q ところで、その意思表示が法的効力を持つためには、表意者に「意思能力」がなければなりませんが、現在は規定がありません。この「意思能力」についても定義規定が定められるのでしょうか。
A 定められることになっています。具体的には、中間試案で「法律行為の当事者が、法律行為の時に、その法律行為をすることの意味を理解する能力を有していなかったときは、その法律行為は、無効とする。」と定めています。したがって「契約」でいえば、その契約がどのような契約で、その契約を締結することの意味が分かる能力があるか否かで判断されることになると思います。
渡邊不動産取引法実務研究所
代表 渡邊 秀男
























