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プレミアム会員限定点検 不動産投資 宮城大学事業構想学部教授田辺信之 「私募ファンド」シリーズ(4) 規模よりパフォーマンス追求 野村不動産投資顧問代表取締役社長 福井保明氏に聞く

住宅新報 2014年7月15日 号 5面

連載: 点検 不動産投資

マンション・開発・経営
野村不動産投資顧問代表取締役社長 福井保明氏

野村不動産投資顧問代表取締役社長 福井保明氏

 「私募ファンド」シリーズのインタビュー2人目は、03年1月に設立され野村不動産ホールディングスの100%出資会社である野村不動産投資顧問の福井保明社長。「不動産金融市場の大きな潮流を見極めながら、運用パフォーマンスの最大化を図っていきたい」という福井社長に話を聞いた。

 ――はじめに御社の事業概要を教えてください。

 福井氏 当社の設立は2003年だが、総合的かつ効率的な資産運用を図るべく、4年前にリートと私募ファンドの運用会社3社を統合した。現在は野村不動産オフィスファンド投資法人(オフィスビル特化型、運用資産4310億円)、野村不動産レジデンシャル投資法人(居住用施設特化型、1680億円)、野村不動産マスターファンド投資法人(物流施設・商業施設複合型、2620億円)の3つの上場リートに加え、非上場オープン・エンド型リート(私募リート)である野村不動産プライベート投資法人(複合型、810億円)、複数の私募不動産ファンド(1200億円)、私募有価証券ファンド等(360億円)の資産運用に携わっている。また、年金基金や他の機関投資家から一任勘定(350億円)で運用を任されており、これらの運用資産残高を合計すると1兆1320億円となる(14年3月時点)。

 1社で数種類のファンドを運用する場合、ファンド間の「利益相反」が問題となる。当社では、ファンドごとに投資責任者を置いているほか、優良な物件情報があったときに、どのファンドに優先的に取得を検討させるかなどについてあらかじめ明確なルールを定めて、利益相反問題が生じないようにしている。例えば、リートと私募ファンドであれば、リートを優先することにしている。

 ――私募不動産ファンドの運用状況はいかがでしょうか。

 福井氏 日本はアベノミクスで超金融緩和の状況にあり、米国も景気回復が鮮明になりつつある。欧州もマイナス金利の導入などの踏み込んだ対策を講じており、当面は世界経済が急に減速することは考えにくい。こうした中で、投資家の不動産投資に対する需要は極めて強く、金融機関も融資には前向きの姿勢を示している。しかし、不動産の取得競争が激化しており、目線に合う物件を取得するのが難しくなっている。キャップレートは1年前に比べて0.5%程度低下しており、今後は賃料回復が焦点となってくるだろう。

 逆にいえば、売却には適した環境なので、出口を迎える私募ファンドは想定以上の価格で、不動産を順次売却できている。一方で、物件の取得難から、新たなファンド組成は難しくなっているため、私募リートを除くと私募不動産ファンドの運用残高は減少している。だが、いたずらに規模の拡大を追求するよりも、パフォーマンスの維持・向上こそが重要だと考えており、無理な物件取得には走らないようにしている。

 ――最近、海外投資家が日本市場に着目しているようです。

 福井氏 その通りだ。とはいえ、多くの海外投資家は東京のAクラスのオフィスビルを購入したがっているが、海外投資家の目線に合う利回りで取得できるような市場環境にはない。そこで、大阪や地方中核都市にも投資対象を広げてきている投資家もいる。         (続く)

 ふくい・やすあき=76年野村證券入社。00年取締役職域本部兼投資信託・DC本部担当、05年野村ファンド・リサーチ・アンド・テクノロジー執行役社長、野村ファンド・リサーチ・アンド・テクノロジー・アメリカ・インク会長に就任。07年(株)プライベート・エクイティ・ファンド・リサーチ・アンド・インベストメンツ取締役就任。10年野村不動産監査役。12年から現職。

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