藤澤雅義の賃貸管理 現場中継 (41) 物件収支の体系的理解 〝NOI〟の知識は必須 オーナーから情報収集を
住宅新報 2014年4月29日 号 6面
連載: 藤澤雅義の賃貸管理 現場中継
賃貸管理をしている現場の人には、物件の収支について、つまりオーナーのキャッシュフローに関心がない人が多いように思う。募集して、契約して、メンテナンスやクレームに対応していればそれでいいのではなく、実際にオーナーのキャッシュフローはどうなっているのか、もっとオーナーからも情報をもらって知るべきであろう。
そこで今回は、お金の流れを体系的に理解してもらいたい思う。左表は「キャッシュフローツリー」と呼んでいるものだが、ここには「減価償却」や「支払い金利」「元本返済」の分離などの不動産所得を出すための財務会計的な科目はない。あくまでキャッシュフローベースの「お金の経緯」が示されている。
(1)は、「総潜在賃料収入」といって、稼働率100%の場合の賃料の合計額のこと。日本で「その物件の利回りは?」というと、この数値を購入コストで割ったものをいうことが多い。これを「表面利回り」という。
(2)は、賃料10万円と想定していたが、9万5000円でしか決まらなかった、10万2000円で決まった場合の差異をいう。
(3)は、空室分の損失で賃料収入がない部分のこと。
(4)は、滞納賃料の取りっぱぐれのことで、その結果(5)の実効賃料が出る。
(6)の「その他の収入」とは、駐車場、自販機、サイン(看板)、携帯電話の基地局等の使用料がそれに当たる。
この時点の収入計が(7)の総営業収入だ。
そして、(8)の「運営コスト」を控除する。これは、物件の運営に必要なランニングコストのすべてだ。共用電気・水道代、管球交換費用、定期巡回・清掃、設備故障時の小修繕・交換費用、退去時の内装リフォーム費用、仲介業者に払うフィーなど。その他、消防設備点検、建築設備点検、貯水槽点検・清掃、給水設備点検、排水管高圧洗浄、エレベーター点検および動力代等のメンテナンス費用。また、管理会社に払うマネジメントフィーや固定資産税、保険料などがある。
ここで出た数値(9)のことを「NOI(エヌオーアイ)」という。物件の評価で一番大事な指標がこの「NOI」だ。「NOI」という言葉を今初めて知ったという人がいたら、これがいい機会なので、絶対に覚えるべきだ。よく勉強している投資家系オーナーに「モグリ」といわれないように。「NOI」を購入コストで割ったものが「NOI利回り」、いわゆる「実質利回り」のことである。
(10)は「年間の借入金返済額」で、この数値は「借入額」「金利」「融資(返済)年数」の3つで決まる。NOIまでは、物件特有のもので、誰がオーナーであっても基本的には変わらないが(腕のよいプロパティーマネージャーを使っているオーナーのNOIは増加するだろうが)、この「借入金返済額」はオーナーごとに違う。3つの数値の設定がそれぞれ違うからだ。
(11)が残る「キャッシュフロー(税引前)」だ。
オーナーズエージェント、アートアベニュー代表取締役 藤澤雅義

























