不動産取引現場での意外な誤解 売買編(62) 契約違反があった場合、契約を解除しないで「違約金」を請求できるか?
住宅新報 2014年1月28日 号 10面
連載: 不動産取引現場での意外な誤解
Q 当社は分譲物件の売主ですが、買主が予定の期日までに売買代金を支払ってくれないので、資金繰りに大変困っています。このような場合、当社としてもいつまでも待っていられませんので、やむを得ず売買契約を解除せずに、「違約金」の請求をしたいと考えています。このような請求は法的に可能でしょうか。
A 売買契約書に契約解除をしたうえで違約金の請求をするという約定がなければ、請求は可能です。すなわち違約金の定めをしても、その相手方は履行の請求をすることもできるし、契約の解除をすることもできると民法は定めています。したがって、当事者間で契約の解除をしてから違約金の請求をするというような取り決めをしていない限り、先に違約金の請求をすることもできるのです(判例)。
Q しかし、実際には契約の解除をしてから違約金の請求をするのではありませんか。
A そうかも知れません。現に、ある業界団体の売買契約書のひな型や、国土交通省が定めた標準的な売買契約書のひな型ではそのようになっています。
Q ところで、この「違約金」の定めをした場合は、あらかじめ契約違反があったときの損害賠償額の予定をしたことになるということですが、それは法的にどのような意味があるのですか。
A それは、実際に契約違反があったときに、その相手方が損害賠償請求をするにしても、その実際の損害額を立証して請求しなければならないところ、単に契約違反があったことだけを立証すればよいというところに違いが生じるのです(判例)。
Q そのほかにも、「違約金」については何か重要な点があると聞いていますが。
A 違約金の定めをした場合には、その額について、原則として裁判所もその増減をすることができないというところにあります。
Q 話には聞いておりましたが、「違約金の定め」にはそのような意味があるということは初めて知りました。
A そうですね。本問での最初の質問の内容などは、意外と知られていないことかもしれませんね。
渡邊不動産取引法実務研究所
代表 渡邊 秀男
























