リノベ、ファンド、シニアなど 事業多角化で商機拡大 マンションデベの戦略 建築費高騰や需要増加背景に
住宅新報 2014年1月7日 号 17面
マンションディベロッパーの事業多角化が進んでいる。背景の1つには、事業環境の厳しさがある。用地取得競争の激化や建築費の上昇だ。特に建築費は震災復興や政府の国土強靱化計画、東京五輪開催決定などで工事量が増加していることから高騰が叫ばれている。一方、中古ストックの増加や高齢者人口の増加といった社会的ニーズへの対応も大きい。特に新規参入などが活発になっている事業の現状や、特徴的な新規事業を追った。
新規参入盛んに
マンションディベロッパーの新規参入や取り組み強化が目立つ事業の1つに、1棟リノベーション事業が挙げられる。既存の企業社宅や賃貸マンションを取得して、各住戸のバリューアップ工事を行って分譲するものだ。事例によっては、共用部を含めて大規模改修する。
取り組みが盛んになっている背景の1つに、社会的要因が挙げられる。一次取得者の給与所得の低迷や中古ストックの増加だ。新規参入したある事業者は、「30歳代のサラリーマンの所得が上がらない中で、割安で優良な中古には需要がかなりあると考えている。中古ストックの増加という社会的要因もある」とその動機を話す。
もちろん建築費の面でもスケルトンなどが活用できる分、新築に比べて抑制できる。
13年は新規参入が特に目立った。フージャースコーポレーションは東京都墨田区で、穴吹興産は神奈川県川崎市で、第1弾の供給を行った。
大手の参入例もある。大京グループは千葉市美浜区で初弾を供給。三菱地所レジデンスは来春にも、東京都渋谷区で初弾を供給する予定だ。いずれの事業者も第2弾以降、継続的に供給する方針を示している。
事業強化の動きもある。コスモスイニシアはその1つだ。同社は13年12月現在、4棟の供給実績がある。これまでは全戸空室で取得が可能なことなどから、1棟リノベ事業が進めやすいとされる企業社宅を仕入れていたが、今後は賃貸マンションの仕入れも強化するという。
一方、1棟リノベは既に、事業環境の厳しさを指摘する声が上がっている。マンションデベの参入に加えて、住戸単位の買取再販事業を主力に展開していた事業者が資金面などの体制が整い、参入するケースがある。競争が激化しているのだ。
特に社宅を巡る環境は顕著のようだ。1棟リノベが進めやすいとされるこの既存物件について事業者は、「仕入れ競争が厳しい」と声をそろえる。
厳しさを増す市場では今後、各社の独自戦略も必要になりそうだ。
自社の特徴生かす
新規参入事業には、アセットマネジメントも挙げられる。特にタカラレーベンの取り組みは特徴的だ。
同社は13年10月に100%子会社「タカラアセットマネジメント」を設立した。メガソーラー事業を目的にしたファンドを組成する狙いだ。東京証券取引所は15年度をメドに、太陽光発電などの再生可能エネルギーや空港、港湾に投資するインフラファンドなどを上場させる市場を構築する方向で検討を進めており、タカラレーベンはメガソーラーファンドでの新市場上場を目指すという。
同社は、戸別太陽光発電付きマンションの累計供給が12年末現在で全国トップ。メガソーラー事業でも、13年8月に栃木県で稼働を開始した「レーベンソーラー塩谷発電所」をスタートに、13年10月現在、計4メガワットの太陽光発電を運営する。14年3月期中には10メガワットになる見通しだ。
メガソーラーファンドの創設は、同社が積極的に取り組んでいる太陽光関連事業の延長線上にある。
特化型の分譲商品
マンション分譲に視点を戻すと、商品企画で特徴的な動きが見られる。特に、フージャースコーポレーションのシニア事業は目立つ。同社はこのほど、中高齢者専用分譲マンション事業を立ち上げた。13年11月から茨城県つくばみらい市で第1弾「デュオセーヌつくばみらい」(総戸数150戸)の供給を行っている。14年末に完成予定だ。
シニア分譲マンションに明確な基準はない。リーマンショック前に供給が目立った近畿圏での事例などを踏まえると、看護・介護サービスの提供体制や共用施設の多さは共通項だ。サービスによる安心・安全などが商品価値の1つになる。また、有料老人ホームとの比較では、「所有権」が特徴だ。購入者の資産になることがPRポイントになっている。
「デュオセーヌつくばみらい」は、訪問介護事業所や訪問看護事業所を併設。レストランや天然温泉も整備する。
販売開始から約1カ月で見込み客は20件程度に上った。シニア分譲は、物件完成時の健康状態が見通しにくい層が購入者になることなどから、一般に販売のピークは物件完成後になる。このため担当者は、「想定以上の反響」と話す。
同社は今後、年1棟ペースで供給していく方針だ。
一方、シニア分譲はその事業特有の難しさが指摘されている。例えば、販売時に介護・看護サービスの提供体制をPRするため、分譲事業者でありながら、サービスの継続性に対する一定の責任が求められることなどが挙げられる。
シニア分譲の供給事例はまだ少ない。首都圏で積極的に取り組もうとする事業者が出てきたことで今後、どういった市場が構築されるか、注目が集まる。
中古買取再販で税制特例を創設
政府は1棟リノベーション事業を含む中古流通について、税制などで後押しする構えだ。与党がまとめた14年度税制改正大綱には、買取再販にかかわる軽減措置が盛り込まれた。一定の質向上を図るリフォームが行われた中古住宅を取得する場合、買主に課される登録免許税の税率を0.1%に軽減する。同制度は戸建てやマンション戸単位での再販のほか、共同住宅を1棟単位で仕入れて分譲する事業も対象にする。
一定の質向上改修の基準は現在、国土交通省が検討中。年度内に示すという。























