不動産取引現場での意外な誤解 賃貸編(57) 「立ち退き料」の額は一般的にどの程度か?
住宅新報 2013年11月12日 号 8面
連載: 不動産取引現場での意外な誤解
Q 契約の更新というのは、契約期間が満了しても契約が終了せず、継続されるものだということですが、契約の更新というのは、契約の当事者が期間の満了にあたり、少なくとも契約を継続させるという合意をすることが前提になると思いますが、そういう理解でよいのでしょうか。
A 基本的にはその通りですが、すべてが合意で更新されるわけではありません。建物賃貸借のケースでいえば、借地借家法26条の法定更新とか、民法619条1項の黙示の更新の制度などもあります。
Q ところで、その「法定更新」という制度は、何か借主に一方的に有利な制度のように思えるのですが。
A そうですね。そういう意味合いが強いかも知れません。しかし、法定更新の場合には、契約期間の定めがあった契約が、契約期間の定めのない契約になってしまいますので(借地借家法26条(1)ただし書き)、借主はいつ貸主から建物の明け渡しを請求されるか分からないというリスクを負うことになります。
Q しかし、借主がリスクを負うといっても、貸主にはほとんど明け渡しを請求するための「正当事由」が具備されることはないのではありませんか。
A 確かにその通りですが、それでも最近立退料の支払いなどとの合わせ技で、「正当事由」が具備されることが多くなってきていますので、借主にとってはリスクであることには変わりありません。
Q ところで、立退料の話が出ましたが、この立退料というのは、一般的な借家契約の場合には、どの程度の額のものをいうのでしょうか。
A 以前にもお話ししましたが、同じ借家契約でも店舗や事務所などの場合には営業権の問題がありますので、一概に申し上げることはできません。しかし、住居系のものについては、ケースによって異なるとはいっても、通常、年間賃料の1年分から5年分程度の額でまとまっているのではないでしょうか。もちろん、これは当事者が裁判で争っている場合の立退料の額なのですが、そうではなく、当事者の話し合いで決めている一般的な立退料でも年間賃料の1年分から2年分程度までのところで話し合っているのではないでしょうか。
渡邊不動産取引法実務研究所
代表 渡邊 秀男
























