寄稿 交際費課税緩和で社会に活力を 不動産鑑定士・税理士 横須賀博
住宅新報 2013年9月10日 号 4面
本年2月26日号の本紙に、「交際費課税に疑問あり」と題した、交際費課税を緩和すべし―との意見を寄せた。概略は次の通り。
「…思うに、企業の内部統制や株主力が(交際費課税が適用された)昭和29年当時から格段に進化した現在、むしろこの規制を緩和、撤廃し、健全な営業活動でもたらされるこれらの支出は、結果としてゴルフ場が、飲食業界が、贈答マーケットが、タクシー業界が、旅行業界等が活性されることになるのではないだろうか。そして、交際費の支出先は売り上げとして、法人税としての納税がなされるのだから、流通速度を高め人間に活力を与え景気浮揚の一助になる。そんな交際費の制約を疑問に思うのだが―」
しかし、いまだに資本金1億円超の法人の支出する交際費は一人当たり5000円基準を除く金額の損金算入を認めることなく、課税の対象としている。
そこで日本税理士会連合会と日本税理士政治連盟は平成26年度税制改正に関して、「交際費にあっては企業活動を遂行するに当たり、社会通念上必要とされる慶弔費等は交際費課税の対象外として損金の額に算入されるべき」との、控えめな要望を行っている。
8月29日付日本経済新聞(朝刊)は「交際費損金算入を大企業にも適用」と題した厚労省要望について、次のように記載している。
「交際費課税は中小企業に限り800万円以下の交際費を損金算入できる。厚労省は資本金1億円超の大企業にも適用するよう求めた」。その要望事項によれば、「中小法人の交際費課税の特例を、飲食店等における消費の拡大を通じた経済の活性化を図る観点から、大法人についても、その適用範囲に含め、所用の見直しを行う」としている…大企業を対象とすることは政府与党内にも慎重な声があるが、麻生太郎財務相は「大企業に広げていくのは方向として考えてしかるべきかな、と思っている」と前向きだ。
私は、麻生太郎財務相は世の実態を熟知しているものと認識を新たにした。私が交際費の損金算入を認めるべきと強調する理由は、交際費がいかに人間に活力を与え、生産意欲を高めるかである。
夜の歓楽街をみても間仕切りのない集合部屋で大騒ぎしての5000円以下の接待で、いかなる商談が生まれ、いかなる思い出が心に残るのであろうか。そうではなく、静かな「離れ座敷」での会話は無駄と思われる費用であっても、思いもよらぬアイデアを生むこともある。国際交流がますます重要となる中、外国企業の来訪者に何をもって、心の豊かさを感じさせることができるのだろうか。
第一、大企業の幹部が一人当たり5000円という非課税の範囲の交際費で、相手に対し、何を期待するのだろうか。そんな意味からすると、厚生労働省の要望は、景気浮揚策として、麻生太郎財務相と同様に、世の実態を熟知しているものと思われてならない。
なぜなら、アベノミクスを一言で言えば「国民にお金を使ってもらおう」という政策なのだから。





















