紙上ブログ不動産屋の独り言 214 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 「入居者の野良猫への餌やり」 対応次第で誤解与える恐れ
住宅新報 2013年8月20日 号 6面
以前も記事にしている当社管理の調布のテラスハウスの入居者の話。敷地内で野良猫に餌を与えていて、近隣住民から家主さんがクレームを受けて困っていたが、その後、家主さんからの依頼を受け、その住人を当社に呼んでキツイ注意を与えた。どうにか改善されたかと思っていたのだが……。どうやらその後も隠れて餌やりを続けていたようである。隣の住人がその様子を撮影して家主さんの家に持ってきた。
人情家の家主
しかし、家主さんにとってはその入居者を応援したくなるような話も出てきた。家主さんは人情家で、その入居者の「自分はスーパーの値引シールが貼ってあるものを食べてでも猫が飢えないように食べさせてあげたり、避妊手術を受けさせている」というお涙頂戴の話を気の毒に思い、「生活費の足しにしなさい」と二度にわたり1万円と5万円を渡したんだとか。
私はそれを聞いて驚いた。実は家主の奥様も「そんなことしなくていいのでは」と言ったようだが、家主さんは「気の毒だから」と渡してしまったらしい。
私が「それは間違っています」と言ったなら気分を害するであろうから、奥様にこう話した。「それだと逆に間違ったメッセージを送ってしまうことになりかねません。家主さんは野良猫への餌やりに協力的で理解を示している、と入居者は都合よく解釈してしまうでしょう。それが餌やりを止めないことにつながったのではないでしょうか」と。
敷地内にトイレも
家主さんは以前も、庭をトイレにされたらかなわない、とテラスハウスの敷地内に二つも猫専用のトイレを作っている。大工さんに作らせた本格的なものである。そういうことも入居者からすれば「協力的」と思ってしまうものだ。
この夏、その入居者と中央線の車内でバッタリ会った。その際に、「もう餌やりはしていませんが、その後ご近所からクレームはきていますでしょうか?」と訊かれた。まだ餌やりを続けているのだが、相手はバレてないと思っているようだ。「相変わらずみたいですね」と言うと表情を曇らせていたが本心ではないと思う。うちも猫を飼っているから嘘だと解かるし、解決は遠そうだ。
(坂口有吉不動産・社長)























