紙上ブログ 不動産屋の独り言201 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 同業者との連係プレーは大切 仲間の向こうにはお客様がいる
住宅新報 2013年5月14日 号 7面
ふだん仲良くさせて頂いている同業者さんから、当社の募集物件に問い合わせが入った。
「1階の部屋に、車椅子のお客様を紹介することは可能でしょうか。可能なら、部屋の前までの段差にスロープ工事をさせて頂きたいのですが」とのこと。
実現性に難
もちろん、家主さんは理解があるし、工事費用も市の福祉で負担してくれるし、退去時の原状回復も納得してくれているのだが、そのアパートは1階でも道路から3段ほど上がっているので、スロープを付けるのは容易ではないだろう。ありがたい話だが当社のアパートでは無理、と思えた。
そこで、こんな提案をしてみた。「当社の管理物件ではありませんが、私が親しくさせて頂いている同業者さんの1階の部屋が近々空くと聞いています。管理会社さんも親切ですし、家主さんも人格者です。当社の名前を出してもかまいませんので、お聞きになってみてはいかがでしょう?」と。
当社も仲介に入れてもらおうなどとは、もちろん、考えていない。「お客様にとって良いかどうか」だけの話である。商談がまとまれば業者さんも喜んでくれるのだし、持ちつ持たれつだ。
実はそのアパート、私が妻と入籍する前に8年ほど一緒に暮らしていたアパートでもある。だからよく分かっていて、絶対お勧めの物件だ。
でもって、当社でも勧めたいお客様がいて、別のアパートで決まれば問題なく可能になる。それもお伝えしていた。
商談には至らずも
当社のお客様は予定していた物件で決まらず、幸か不幸か他社で決まったようで、そのアパートを紹介することが可能にはなったが、現在の入居者の退去日がハッキリしておらず、残念ながら商談には至らなかったようだ。
それでも同業者さんはとても喜んでくださった。我々の業界は、よその会社が成約しようが利益を上げようが気にしてなどいないもの。うちには関係ない、と思い込みがちだが、仲間の向こうにはお客様がいる。
自社に利益が落ちるかどうかでなく、お客様が喜んでくれるかどうか、を考えられないようではとても「公益法人」とは言えないもの。これからもそういう紹介は続けたい。
(坂口有吉不動産・社長)























