よく分かる不動産証券化とビジネス活用<第169回> 不動産証券化の現状と将来展望 有識者に聞く 国土交通省土地・建設産業局不動産業課長 海堀安喜氏
住宅新報 2011年9月6日 号 3面
国内募集割合の要件緩和で 県庁な海外からの公募増資
「有識者に聞く」シリーズ43回目は、不動産業全般を管掌され、不動産投資市場の育成にも尽力されている国土交通省総合政策局(現土地・建設産業局)不動産業課長の海堀安喜氏にお話をうかがいます。リーマンショック後の金融危機における不動産投資市場の緊急対応、市場基盤の整備などでも活躍され、不動産投資市場戦略会議を通じ、市場の将来に向けた成長戦略もまとめられています。
(田辺) 最近の不動産市場の動きをどのように見ておられますか。
(海堀課長) 本年3月の東日本大震災による一時的な落ち込みはあったものの、基本的には回復基調にあると言ってよいでしょう。
新設住宅着工戸数は、世界的な金融危機の影響を受け、それまでの年間100万戸台から09年度には77.5万戸にまで落ち込みましたが、10年度には81.9万戸にまで回復しました。東日本大震災後の落ち込みもそれほど大きくなく、順次回復し、安定的に推移していると言ってよいと思います。
首都圏分譲マンションの販売状況も同様の動きを示しています。好況時のように毎年8万戸前後が供給されるというわけにはいきませんが、09年には供給戸数が3.6万戸にまで減少したものの、10年には4.5万戸に回復し、発売年契約率でみても、10年は78.4%と前年を8.7%上回りました。こちらも震災の影響がありましたが、5月のゴールデンウィーク明けから客足が戻ってきていると聞いております。
(田辺) 業務系の動きはいかがでしょうか。
(海堀課長) 賃貸オフィス市場も、空室率はまだ高止まりしていますが、改善の兆しが出てきています。東京23区の空室率は、07年末に1.8%で底打ちした後に反転し、10年3月には7.7%にまで上昇しましたが、最近(6月23日時点)では7.6%に低下してきています。
来年度にはオフィス床が大量供給されるので、その影響があるかもしれませんが、需要は回復基調にあるとみてよいのではないでしょうか。
大阪、名古屋も空室率は低下傾向にあります。また、被災があった仙台は、空室率が高くなり、供給が抑制されたこともあって昨年秋頃から空室率は低下し始めていました。そうしたところに震災が起き、移転や耐震性に対する不安解消ニーズなどから、市況は改善の方向に向かっています。
代表的な不動産証券化商品であるJリート(不動産投資信託)市場についても、投資口価格は、震災直後に20%近く下落しましたが、6月末現在では震災前の水準に比べマイナス5%程度まで戻しています。
Jリートは日銀による買入れ対象となっており、震災直後の3月に5回の買入れが実施されたことが効果的だったと思います。こうした値動きを見て、分配金による安定的なインカムゲインを重視した投資家が購入しているようです。リートのPO(Public Offering、増資)によるダイリューション(希薄化、株数が増えることにより1株当たり利益などが減少すること)懸念もあるようですが、一方で海外投資家の増資への応募は堅調なようです。
海外から公募増資が堅調なことの背景には国内募集割合要件を緩和(11年税制改正にて、投資口の国内募集割合50%超の要件が増資毎でなく投資口合計の判定となり、海外資金調達の規制が緩和された)した効果もあるのではないかと思います。(つづく)
※このインタビューは6月末に行われたものです。





















