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プレミアム会員限定点検 不動産投資 宮城大学事業構想学部教授 田辺信之 第32回 グローバル不動産投資市場 アジア投資は〝商業〟主体 プルデンシャル・リアルエステート・インベスターズ・ジャパン代表取締役 前田康一郎氏に聞く 〈前半〉

住宅新報 2012年12月18日 号 3面

連載: 点検 不動産投資

マンション・開発・経営
プルデンシャル前田さん

プルデンシャル前田さん

 点検不動産投資・グローバル不動産投資市場シリーズ32回目はプルデンシャル・リアルエステート・インベスターズ・ジャパン代表取締役で、マネージング・ダイレクター、ポートフォリオ・マネジメントの前田康一郎氏に、日本を含むアジア投資についてインタビューした前半を紹介する。

 ――プルデンシャルグループの不動産投資事業の概要を教えてください。

 前田氏 135年以上の歴史があるプルデンシャル・ファイナンシャル・グループは生命保険、投資信託、年金保険、退職年金、退職に関連したサービスや資産管理、資産運用等の事業を展開する、米国に本社を置くグローバル企業だ。このうち資産運用事業は、グループ会社のプルデンシャル・インベストメント・マネジメントを統括会社として、株、債券、プライベートエクイティ、不動産を主体に投資運用を展開している。その不動産部門がプルデンシャル・リアルエステート・インベスターズで、プルデンシャル・リアルエステート・インベスターズ・ジャパン株式会社はその日本法人という位置付けだ。

 不動産部門の資金の大部分は欧米の年金を中心とした第三者からものであり、その投資先は、北米、欧州、アジア、南米の順に割合が高い。基本的に、コア、コアプラス、バリューアッドという範疇のローリスク・ローリターンからミドルリスク・ミドルリターンを基本とする運用戦略が全体の8割強を占め、オポチュニスティック投資は米国を中心に1割程度にとどまる。現在の総預かり運用資産は501億米ドル(12年6月末時点。ネットベースの運用資産総額は338億米ドル)に上っている。

 1970年代には米国で年金基金にとって初めてのコア戦略の不動産オープンエンドファンドを提供しており、世界最大規模で最も歴史の古いファンドのひとつだと自負している。

 ――コア投資を軸にした資金の運用ニーズが日本で高まってきています。

 前田氏 近年の日本の不動産投資市場は投資インフラの整備等が半ば途上だったこともあり、オポチュニスティックな資金が市場でそれなりの立場を占めていた。安定稼働している不動産への投資を中心とする上場リートの市場規模の拡大や私募リートの誕生、また、投資インフラの整備促進もあり、コア投資の位置付けが高まったと認識している。不動産投資自体も見直されるのではないだろうか。

 当グループが日本で展開する不動産投資活動は、外資系によく見られるオポチュニスティックな投資戦略とは対照的に、主にコアからバリューアッドの目線でインカムを中心にした投資戦略を描いてきた。海外で成長性を求める半面、日本では安定したインカムに重きを置くことでアジア全体を対象とするポートフォリオのバランスをとっているが、もちろん日本でも案件によってはより高いリスクをとる場合もある。なお、コア投資への資金需要は相対的に旺盛だと認識しているが、物件の取引量は少ない。余談だが、日本市場の課題は、適切な投資分析と判断ができる機関投資家からのリスク・キャピタルが根本的に少ない点ではないかと考える。

 ――利回りやリスクなど投資の判断基準がありますか。

 前田氏 投資戦略を踏まえ利回り何%という目安はなくはないが、投資の判断材料はリースの期間や条件、テナント・クレジットの高低、建物の立地や築年数などを総合的に判断している。但し、リートなどの国内の投資家と競合してもおかしくない不動産も保有しており、十分競争力がある水準で取得した実績もある。

 ――日本を含むアジアではどのような投資戦略を持っていますか。

 前田氏 アジアでは1994年に事業を開始した。アジア最大のポートフォリオを形成するシンガポールをはじめ東京、北京、ソウル、香港、シドニーに拠点があり、商業施設を中心に据えオフィス、住宅にも投資している。総預かり運用資産は72億米ドル(12年6月末時点。ネットベースの運用資産合計額は42億米ドル)に上り、このうち日本は約2000億円規模の商業用不動産に投資を行っている。

 オフィスや物流施設への投資も行っているが、東京の一等地を中心に都市型商業施設への投資実績を積み上げてきた。アジア全体でも日本においてもポートフォリオが商業施設主体となっているのは、オフィスビル投資の競合の多さに加えて、商業施設の賃貸借契約の安定性等が背景にある。      (つづく)

まえだ・こういちろう=11年5月よりプルデンシャル・リアルエステート・インベスターズ・ジャパンで事業開発及びポートフォリオ・マネジメント業務を担当。同年9月に代表取締役就任。それ以前は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券投資銀行本部不動産グループのエグゼクティブ・ディレクターとして不動産会社のカバレッジ、私募ファンドの組成・プレイスメント及びクロスボーダー取引等に従事。その後01年まで三井不動産に在籍。不動産への投資から年金基金を含む国内外の機関投資家とのファンド組成・証券化等まで幅広い業務に携わる。慶応大学卒。

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