不動産取引現場での意外な誤解 売買編(47) 途中で契約解除となった場合、残りの仲介手数料は請求できる?
住宅新報 2012年9月4日 号 6面
連載: 不動産取引現場での意外な誤解
Q 最近の裁判例を見ていると、売買契約が残金決済前に手付放棄や手付倍返しで解除されると、残金決済時に受領する仲介手数料の半額がもらえないように思えるのですが。
A 現段階で言えることは、従来から定着された判例として考えられている「報酬請求権は売買契約締結時にその全額について発生する」という考え方が、「残金決算時まで仲介業者がフォローするという前提で発生する」という考え方に変わりつつあるように見えることです。この点は、昭和41年の旧建設省時代の行政指導による「契約時半額、残金時半額」の半額受領の慣行化が大きく影響しているものと思います。
Q そもそも、その行政指導で、なぜ、仲介手数料を半分ずつにしなければならないとしたのですか。
A 当時、仲介業者が手数料を最初に全額受領し、最後まで業務を行わなかったためにトラブルが多発したので、旧建設省としては、仲介業者に対し、「残金決済時までフォローして、はじめて仲介業務が完了する」という考え方を定着させる指導をしたのです。
裁判所も同様に、「仲介手数料を契約時2分の1、残金時2分の1とする特約は、一般に、売買契約が履行されることを報酬請求権の発生要件とするものではなく、単なる報酬の支払時期に関する特約を定めたもの」と解しており、したがって、「手付解除等により、契約が途中で解除されても、残りの半分についての報酬請求権が発生しないということではなく、最終決済が行われないことが確定した時に、残りの半分の報酬を請求することができる」と解しています(判例)。
Q しかし、最近の裁判所の考え方の中に、手付解除の場合は、仲介業者も最初から当事者が手付解除をなし得ることを承知しているわけですから、残りの手数料をもらえなくても当然なのではないかという考え方があるようですが。
A その点は同感です。しかし、だからと言って、現段階で手付解除のすべてについて、従前の判例の考え方(売買契約時に、全額についての報酬請求権が発生するという考え方)が適用されなくなるということについては否定的です。なぜならば、手付解除の約定は、単に「解除権を留保」した特約であって、「条件」ではないからです。
渡邊不動産取引法実務研究所
代表 渡邊 秀男
























