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プレミアム会員限定★相続支援隊★ 相続・不動産最新レポート ~専門家から見た実務の留意点~ 第7回 遺産をめぐる裁判の実際 家裁か地裁か 内容で判断

住宅新報 2012年7月3日 号 6面

連載: 相続・不動産最新レポート

資格・実務
(上)家裁特別受益・寄与分も話し合われる。(下)地裁特別受益・寄与分は判断されない

(上)家裁特別受益・寄与分も話し合われる。(下)地裁特別受益・寄与分は判断されない

 相続人間で遺産分けについて争われているとき、当事者間では話がまとまらない。その場合、どこの裁判所に解決を求められるでしょうか。家裁の遺産分割調停かな? と思われる方も多いかと思います。実際は複雑で、すべてのケースが家裁で話し合われるわけではありません。

 (1)遺産に不動産があり、これを分ける時は、家裁の調停で遺産分割の話し合いがなされます。この場合、特別受益や寄与分の話し合いもなされます。

 (2)遺産には預貯金しかなく、それを分けるとき。預貯金は法的には金融機関に対する請求権となっています。つまり預貯金は可分債権なので、相続開始と同時にすぱっと法定相続分で各相続人が取得し、各自その割合の金銭を金融機関に請求できるのです。自動的に相続人各自に割り振られるので、遺産分割協議は不要です。ですから、遺産に預貯金しかない時は、家裁に遺産分割調停を起こしても受け付けてもらえません。金融機関が各自の払い戻しに応じない場合は、各自が金融機関を相手取って地裁で裁判を行います。

 (3)遺産が現金で、相続人の誰かが預かっている時。この人が他の相続人に現金を分けない場合は、法律的には各相続人がその者にいくらいくらを返せという請求権を持っているだけでしょうか。現金は個性のないもので、占有者が所有者になりますが、それは流通に置かれることを前提としてのこと。この場合は、占有者は遺産として預かっていて、流通に置かれるものではないので、現金を遺産として、家裁に遺産分割調停を起こします。

 (4)使い込みがあって遺産は何も残っておらず、使い込んだ相続人がそれを返さないとしている時。これも各相続人が使い込んだ相続人に、法定相続分に応じてその分のお金を返せという請求権になっていますから、やはり地裁でその請求権を求めることになります。

 そして、特別受益や寄与分などは家裁の審判事項(調停事項でもある)なので、地裁で判決により定められるものではありません。すると、遺産が預貯金や現金、請求権しかない時は、特別受益の持ち戻しや寄与分の差し引きは行われないのでしょうか。

 答えはイエスです。厳密には、地裁では特別受益や寄与分の判断はしません。ですが、地裁で使い込んだお金を返せという訴訟を提起した時、和解の話し合いの中で実質的な解決策として、特別受益の持ち戻しや寄与分の差し引きを行う運用がなされることは、実務上よくあります。              (弁護士・小堀球美子)

 

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