点検 不動産投資 宮城大学事業構想学部教授 田辺信之 第7回賃貸住宅市場 〝所有から賃貸〟は一過性 社宅廃止で総数減少基調に
住宅新報 2012年6月5日 号 3面
連載: 点検 不動産投資
「点検 不動産投資」第2シリーズは、賃貸住宅市場を取り上げます。不動産投資において、賃貸住宅市場は賃貸オフィスビルと二分する投資市場であり物件タイプの裾野が広い特徴があります。近年、賃料下落が顕著だったオフィスに対して、運用の安定性の高さが改めて見直されました。更に、個人投資家層の拡大や、高齢者賃貸の台頭などもあり、市場構造の変化には目が離せない市場と言えます。
最初に、日本の賃貸住宅市場の全体感について整理します。賃貸住宅は全国で1770万戸あり、住宅総数4960万戸の35.8%を占めています(08年総務省統計)。1973年時点では、賃貸住宅は総数の40.8%でしたが、90年代のバブル期の前後に少し比率が上昇したものの、その後は低下を続けています。
低下の最大の要因は、ここ35年間で給与住宅(社宅)の比率が6.4%から2.8%へと激減したことにあります。社宅は日本的経営の象徴の一つであり、バブル崩壊後の90年代に、企業が止むを得ずに社宅売却に取り組んだイメージがあります。しかし、数値の推移を見ると、競争が激化する中で、企業はかなり前から社宅の増加を抑制してきており、バブル期に一時的に増やしたものの、その後は売却を加速していることがわかります。





















