紙上ブログ悪徳不動産屋の独り言 151 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 対照的な2人の入居者 鍵紛失で現れる人間性
住宅新報 2012年5月15日 号 5面
共にうちの管理物件に入居していた(いる)人間性の対照的な2人の入居者の話。今から2年前の真冬のある日、夜中に私は右の腎臓が痛み始めて救急車を呼ぶかどうか悩むほどの状況に陥っていた。それから毎晩、弱い痛みや違和感が続いていて、たまたまいつもより具合が悪かった日に、店を早仕舞いして、うちのに「今日は早く風呂に入って横になるから」と言い、風呂に入っているところに携帯が鳴ったようだ。
相手は、うちの部屋の真上の住人。電話すると「鍵、落としちゃったみたいで、合鍵持ってませんかね」と聞く。「ここにはないよ、会社には置いてあるけど。だけど、今日は具合が悪くて早仕舞いして、風呂から上がって寝ようと思ってたところだから、取りに行くのは勘弁してもらいたい」と断ると、「じゃあ会社の鍵を貸してくれれば、俺が取りに行きますよ」と言う。
お歳暮でも
だが、鍵は会社の机の中に鍵を掛けてしまってあるし、説明して簡単に見つかるものでもない。そう言うと、「だったら何時間でも待ってますよ」と言う。何が何でも「取りに行け」と言っているに等しい。待っていられるのも嫌だし、仕方なく湯冷めしないよう厚着して取りに行き、戻ってきて渡すと、「すみませんでしたね、今度お歳暮でも持って行きますよ」と心にもないことを言う。
抗議に来店
それで非常に憤慨して、その経緯をブログに書いたところ、それを見た友人から「これ、お前のことじゃないか」と教えられ、店に抗議に来た。更新料も払わないと言う。「俺は家賃を払ってる客だよ。客のことをあんなふうに書くのかよ」と怒るのだが、家賃を払っているから自分は客、というのは短絡的で傲慢であろう。部屋探しをしている友人を紹介してくれたりもするが、根は横柄、というものだ。
一方、階下の住人は同じように鍵を失くした際、うちとは親戚以上に親しく付き合っていたし、会社に合鍵があると知っていたのに、そんなことで迷惑を掛けたくないからと、自分で鍵屋さんを呼んでいた。それも、ずいぶん後で知ったことであるが、何とも恐縮してしまった。前者は転居先も告げずにその後すぐ退去し、後者は今も、以前にも増して親しくお付き合いをしている。
(坂口有吉不動産・社長)























