彼方の空 住宅評論家 本多信博 ◇76 これからの不動産業 (中) 既存市場が育てる住文化 AIで消えないために
(前号からのつづき) 顧客に満足してもらう仲介を行うためには、顧客の売る理由、買う理由を事細かく聞き出す努力が必要だ。しかし、初対面の相手から根掘り葉掘り聞き出すのは至難の業だし、相手もプライベートなことはあまり話したくはないだろう。そこで…

(前号からのつづき) 顧客に満足してもらう仲介を行うためには、顧客の売る理由、買う理由を事細かく聞き出す努力が必要だ。しかし、初対面の相手から根掘り葉掘り聞き出すのは至難の業だし、相手もプライベートなことはあまり話したくはないだろう。そこで…
住まいは、その人の生活基盤となる。だから日本賃貸住宅管理協会の塩見紀昭会長はこう言った。 「不動産会社の仕事は顧客が求める条件に合った物件を〝探す〟ことではなく、顧客の人生における大きな夢を〝叶える〟こと」なのだと。 これからの不動産業が志…
ペットマンション、ガレージハウス、夜でも楽器が演奏できる防音マンションなど賃貸住宅市場で目立ち始めたコンセプト化の動きが住文化への扉を開く。住文化とは、住まいをハードではなくソフトで捉えることである。 ◇ ◇ 日本はこれまで住まいをハードの…
例えばある部屋の大きな壁に一幅の絵が掛けられていて、その絵が醸し出す雰囲気と部屋全体の陰影がマッチしている。例えば朝日が部屋に差し込み、その光の中に座っていると一日の気力が湧いてくる。例えば門扉から玄関扉まではほんの数歩しかないが、そこを歩…
リブラン創業者の鈴木静雄氏は11月27日、東京・椿山荘で「『狂愚三昧の経営』出版及び、一般財団法人ひと・住文化研究所設立〝感謝の集い〟」を開いた(3面参照)。 『狂愚三昧の経営』は鈴木氏の60年近い波乱万丈の人生・経営経験を赤裸々に綴ったも…
不動産業界には次々と新しい団体や組織、勉強会が誕生する。それらの多くが不動産市場の変革をめざしている。 「不動産業界に対する国民の信頼を高めたい」「プロフェッショナル化を進め、不動産営業社員の社会的ステータスを上げたい」「女性の元気としなや…
「好きなことを仕事にしている人は幸せだ」とよくいわれる。しかし、そんなことをいえばそれはなにも仕事に限らない。青春時代に親友に恵まれることも、好きな人と出会えて結婚することも、時間を忘れて没頭できる趣味や研究テーマに出合うことも最高の幸せと…
今のように世の中が信じられないときは、人は自分を信じて生きるしかない。だから、自分というものをもっていることが大事になる。 では、自分とはなんだろうか。特に社会人といわれる大人にとって、自分とは職場の中の自分であることが多い。その職場と自分…
心は母親の胎内にいるときから育まれるともいわれるが、ではその人間の心とはなにか。心の正体がつかめなければ、業界の変革をめざし「心ある者たち」に呼びかけることさえもできない。 ◇ ◇ 今年7月、リブラングループ創業者の鈴木静雄氏と「ゼロからの…
庶民という言葉には力がない。もしかしたら、自分を庶民だと思っている日本人は一人もいないのではないか。 つまり、死語に近い。80年代後半のバブル経済時代には〝一億総中流〟という言葉が流行ったが、中流と庶民とはニュアンスが違う。中流は単に所得水…
日本では住宅は経年と共に価値が減じていくという思考が根強い。欧米ではそうでもないという。では、その違いはどこからくるのだろうか。もしかしたら、人生に対する意味付け(ライフスタイル)の違いではないか。 日本人は年を取ることを忌み嫌う。しかし、…
不動産業界が何気なく、結構頻繁に使う言葉に「ライフスタイル」がある。「賃貸住宅はその時々のライフスタイルに応じて気軽に住み替えることができる」とか、「近年、若者のライフスタイルに変化が見られる。それは……」といったふうに。 ただ、この二つの…
不動産業界ではときおり、「差別化戦略」という言葉を使うが、あまりいい感じの表現ではない。差別という言葉には単に〝差をつける〟というのではなく、見下すような底冷たい響きがあるからだ。「独自戦略」という表現が適切だろう。独自戦略なら、まさに他社…
分譲マンションなどの普及で、「家を購入する」という感覚が一般化している。しかし、仮に購入するにしても、「家を建てる」という心構えのようなものが必要ではないか。というのも人生最大の買い物をするわけだから、そこにはそれなりの哲学があってしかるべ…
AI技術があらゆる産業で浸透するに従い、テレワークに適した業種が拡大する。現在はIT関連がその代表だが、デジタル化・非接触型営業が進む不動産業界を見ても営業社員と顧客とのオンライン化は加速している。 人生最大の買い物をしてもらう不動産営業で…
不動産テックの業界への浸透は今や〝カオス〟状態。一般社団法人不動産テック協会が作成している「不動産テック・カオスマップ」(第8版)によれば、提供しているサービスの数は430にも達し、テック企業の数は417に及ぶ。1社で複数のサービスを提供し…
住宅不動産業界は今、デジタル化の嵐の中にある。企業はDX化に後れをとることは死活問題と血道を上げる。誰もがDX化は避けて通れないと信じ、史上空前のビジネスチャンスとも捉えている。識者も誰一人としてそこに警鐘を鳴らす人はいない。その意味ではま…
中島みゆき作詞・作曲で加藤登紀子の「この空を飛べたら」という歌がある。 「あゝ ひとは昔々 鳥だったのかもしれないね こんなにも こんなにも 空が恋しい」 ◇ ◇ ログハウス国内シェアトップのBESS(ベス=アールシーコアのブランド名)は8…
首都圏分譲マンションの平均価格が80年代後半のバブル期を超えた今、改めて住まい(マイホーム)を持つことの意味を考えてみたい。 もっともマンション購入者にとって、わずかばかりの土地持ち分は必要かという議論は従来からあった。一戸建てであれば、た…
コロナ禍の今、我々は時代の目撃者として何を見ているのだろうか。歴史の転換点にいても、それに気付くのは至難の業だとも言われる。首都圏新築マンションの平均価格はバブル期を超え過去最高値を更新中だ。それでも今は異常な低金利だからか、マンション市場…