彼方の空 住宅評論家 本多信博 ◇16 愛しき住まい 自分らしく暮らす夢 我と語り、我を知る感性の場
自分の感性や趣味にマッチした空間を求める傾向が強まっている。大東建託が新規事業として始めた「いい部屋・スペース」もそうしたニーズに応えたものだ。ましてや、部屋の集合体である住まいが感性と無縁ではあり得ない。そこで住まいと感性との関係が気になる。また住まいは自分や家族が幸せになるためのものだとすれば、そうした住まいが備えるべきものは何か。

自分の感性や趣味にマッチした空間を求める傾向が強まっている。大東建託が新規事業として始めた「いい部屋・スペース」もそうしたニーズに応えたものだ。ましてや、部屋の集合体である住まいが感性と無縁ではあり得ない。そこで住まいと感性との関係が気になる。また住まいは自分や家族が幸せになるためのものだとすれば、そうした住まいが備えるべきものは何か。
積水ハウスは「『わが家』を世界一幸せな場所にする」をグローバルビジョンとしている。「そのためには、まず社員を幸せにしたい」(仲井嘉浩社長)という思いから育休制度を充実させている。同社男性社員の育休取得率は100%だ。では一般社会はどうか。同社が小学生以下の子どもをもつ20 代~50 代の男女9400人を対象に実態調査した「男性育休白書2021」によると男性の取得率は12.2%と1割強にとどまった。ただ、20代男性に限ると31.6%で約3人に1人が取得している。
コロナ禍の長期化で社会が混沌とし閉塞感も漂う中、住宅・不動産市場が堅調だ。ウッドショックによる建築費高騰も価格への上乗せで乗り越えられそうだ。マスコミは〝ポストコロナ〟で不動産市場がどうなるかと煽り立てるが、「結局あまり変わらないのでは」という意見も出始めている。しかし、「あまり変わらない」のだとすると何がわるのか、その見定めが大事になる。今回のコロナは世界中の人が命の危険を感じた。そこで何も変わらぬはずがない。短期的にはそう見えても・・・。
不動産DXによる業務の効率化は劇的だ。例えばSREホールディングスのAI不動産査定ツールを使えば従来ならベテラン社員が3時間ほどかけていた作業も最短10分に短縮できる。また売買契約書の作成時間も同社のAIクラウドサービスを利用すると平均60%も削減できるという。これまで旧態依然たる産業の代表格のようにいわれてきた不動産産業がAIでどのような変貌を遂げるのか。それは国民との信頼関係構築に貢献するのか、果ては国民を幸福にするのか、その道筋が重要だ。
自宅のリースバックを利用する人が増えてきた。テレビコマーシャルも頻繁に見るようになった。センチュリー21のCMはこうだ。高齢の男性が登場し、アルバムを見返しながらこうつぶやく。「今すぐどうしても資金が必要になった。私はこの家を売ることに決めた。でも私はこの家が好きだ。リースバックなら家を売った後もずっと住み続けられる。幸せはここにある」
BESS の「梺六範」(先週号の本欄参照)は日本人には遠く懐かしい〝村人〟への郷愁か。昭和31(56)年までは市区町村の中で村の数が一番多かった。それが今では全国1747自治体の約1割強(189)に減少。終戦直後の昭和21(46)年時点では8608村が存在しており、全市区町村1万658のなんと8割を占めていた。筆者は繰り返されてきた自治体合併による行政区画の拡大が人と地域との結び付きを弱め、日本の国土から潤いを奪い続けているのではないかと懸念する。
向こう三軒両隣、仲良く気持ちよく暮らせたらどんなに楽しいだろう。仮に「住みたい街ランキング」などで憧れの街に住んだとしても、隣人との関係をこじらせ日々悩むようなことになったら台無しだ。それを恐れてか、隣人との付き合いは挨拶程度で深入りせず、〝隣は何をする人ぞ〟で済ましてきたのが戦後の日本人の暮らしである。しかし、それでは価値あるコミュニティは生まれない。何かを創造してこそ、人の暮らしといえるのではないか――。
住宅新報社を創業した故中野周治氏がちょうど半世紀前の1971(昭和46)年に著した『不動産業と倫理』(住宅新報社刊)にはこうある。 「われわれは、不動産業界という特定業界から広く眼を社会全体に転じ、大所高所から業界を再認識することにより、はじめて不動産業者の社会的存在意義と責務を見きわめることができる。またそのような自覚の上に立っての意思決定であってはじめて、企業活動を正しい方向に発展せしめることができるであろう」
英語の頭文字を取ったアルファベット語をメディアで頻繁に目にするようになった。英語によるグローバルな語感と「略語」を使いこなす専門家的な心地よさが受けている理由だろう。ただ、気を付けたいのは、略す前の元のフレーズが分かった瞬間に、その意味を理解したような気分に陥りやすいことである。
自宅は職場、学校、スポーツジム、聖域、世界からの安全な避難場所――これはマイクロソフト社のWeb広告に見つけた言葉。これからの住まいは様々な役割を担うことになるという意味だ。「世界からの安全な避難場所」というのは、おそらくこれからもパンデミックが起きたときには自宅にこもるしかないという意味だろう。
近年、「新しい価値」という言葉がよく聞かれる。それはどういうものだろうか。〝新しい〟という以上は既存のものではない。既存のものではないということは、まだ誰も目にしたことのないものだ。ということは、「新しい価値」を見つけるということは実は容易ではない。
来年にもコロナ収束の道筋が見えてくるかもしれない。そこで、結局「コロナから学ぶべきこと」はなんだったのかを整理しておきたい(社説参照)。オフィスビルは大規模化すればするほど竣工までの期間が長いし、竣工後は何十年も存続する。住宅も今後は人々のニーズが大きく変化するかもしれない。アフターコロナ社会を見誤ることは、不動産会社の運命を左右する大事となる。
コロナ禍で〝おうち時間〟が増え、住まいや住まい方についての議論が活発化している。一戸建てやマンションの選び方にも変化が出始めたようだが、ここではもう少し広い観点からこれからの住まいと住まい方について考えてみたい。そもそも住まいとは何か。それを考える糸口として、今回はシェアハウスを取り上げる。日本シェアハウス協会代表理事の山本久雄氏に聞いた。
賃貸住宅管理業法の施行によって「賃貸不動産経営管理士」という新たな国家資格が誕生した。これは不動産業界にとって歴史的転換点となる。なぜなら、売買と賃貸の両市場に片や宅地建物取引士、片や賃貸不動産経営管理士という〝二大士業〟が並び立つことになったからである。折しも、日本の賃貸住宅市場変革を目指す熱い不動産管理会社4社がオンラインでの討論会を開いた。
「不動産女性塾」(北澤艶子塾長)の第2回オンラインサロンが5月25日、60名以上の参加者を得て開かれた。コロナ禍で対面での集会が難しくなっていることから、不動産業界でもオンラインの活用が日常化している。この日は、コロナから学ぶべきことをテーマに、副塾長の野老真理子氏(大里綜合管理会長)が「コロナウイルスから人類への手紙」と題して講演した。
不動産業界のことは不動産業者に聞くのが筋である。しかし今は変革の時。不動産業暦が長いほど発想転換が難しい。そこで、96年衆議院選挙に立候補し小泉純一郎氏と争うも次点で落選。その後、東京・中野で不動産会社を設立。現在は都宅協中野支部役員だが全国貸地貸家協会新聞編集長、日本不動産ジャーナリスト会議会員でもある異形の人、宮地忠継氏に〝業界の今〟を聞いた。