12年の不動産流通市場 上期の総括と下期の展望② 首都圏新築マンション市場
連載: 不動産流通特集
次の新機軸 商品企画の市場投入に期待 消費マインドは回復基調
大震災から1年半が過ぎ、市場はほぼ例年に戻ったとの観測が広がった12年の首都圏・新築分譲マンション市場。安全・安心の商品企画が定着し、売れる物件、売れる戸数に徹した供給サイドに、高い契約率が示すようにユーザーサイドもこれに一定の評価を示した恰好だ。供給戸数も昨年を上回る年間6万戸水準と予想される首都圏の新築マンション市場を、下期の展望と共に検証する。
(工業市場研究所取締役 美濃部康之)
新規供給が再び活発化
工業市場研究所が発行する「KOHKEN REALTY MONTHLY REPORTマンション編」からみる、12年上半期の首都圏新築分譲マンション供給戸数(公的物件、投資用ワンルームマンション、定期借地権・借地権物件を含む)は、前年同期比8.9%増の2万7319戸である。
その供給戸数2万7319戸をエリア別でみると、東京23区1万2042戸(前年同期比7.7%増)、都下2853戸(同29.8%増)、神奈川県6958戸(同5.3%増)、埼玉県3057戸(同9.7%増)、千葉県2178戸(同5.5%減)等(茨城県南部231戸)であり、千葉県を除き各地で増加、特に大規模物件の供給が続く「都下」での増加が目立つ結果となった。
11年に供給を行った事業主総数は196社(09年276社→10年214社)であり、プレイヤー数の減少と大手ディベロッパーの市場占有率拡大に拍車がかかったが、12年上半期は、前年同期比1.3%増の161社(年間トータルでは200社前後と予想)であり、01年以来続いたプレイヤー数の減少にようやく歯止めがかかる見込みである。
慎重な供給姿勢
また、12年上半期に新規発売されたプロジェクト(新規棟数)は、前年同期比5.3%増の357物件であり、新規発売物件の供給が活発化している一方、全供給戸数に占める新規発売比率は58.3%(前年同期64.2%)に減少、確実に売れる戸数に絞った慎重な供給姿勢が窺える。
一方、総戸数でみた規模別供給比率は、50戸未満20.9%(前年同期22.6%)、50〜100戸未満27.3%(同26.0%)、100〜200戸未満16.8%(同17.6%)、200〜300戸未満10.5%(同11.0%)、300戸以上24.4%(同22.8%)であり、300戸以上の大規模物件の増加が目立っている。
供給状況と事業主数の推移
※ 投資用1R物件、定期借地権・借地権物件、公的物件を含んだ集計結果。(但し平均契約率、平均完売率、平均価格、平均坪単価は公的物件を除く)
※ 首都圏=東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県
出典:「KOHKEN REALTY MONTHLY REPORTマンション編」
時期 | 供給件数(件) | 供給戸数(戸) | 事業主数 | |
|---|---|---|---|---|
1997年 | 2,306 | 74,398 | 489 | |
1998年 | 2,525 | 71,203 | 472 | |
1999年 | 2,669 | 93,778 | 469 | |
2000年 | 2,713 | 102,752 | 509 | |
2001年 | 2,739 | 96,809 | 486 | |
2002年 | 2,976 | 99,156 | 463 | |
2003年 | 2,846 | 90,921 | 414 | |
2004年 | 2,938 | 99,952 | 415 | |
2005年 | 2,660 | 95,601 | 371 | |
2006年 | 2,449 | 84,870 | 336 | |
2007年 | 2,243 | 69,646 | 309 | |
2008年 | 2,138 | 59,227 | 304 | |
2009年 | 1,875 | 53,070 | 276 | |
2010年 | 1,979 | 53,720 | 214 | |
2011年 | 1,868 | 50,718 | 196 | |
2011年 | 1月 | 104 | 2,733 | − |
2月 | 132 | 3,934 | − | |
3月 | 143 | 4,620 | − | |
4月 | 122 | 3,529 | − | |
5月 | 165 | 4,838 | − | |
6月 | 159 | 5,443 | − | |
7月 | 178 | 4,597 | − | |
8月 | 136 | 2,908 | − | |
9月 | 174 | 4,038 | − | |
10月 | 161 | 3,663 | − | |
11月 | 186 | 4,633 | − | |
12月 | 208 | 5,782 | − | |
2012年 | 1,087 | 27,319 | − | |
2012年 | 1月 | 163 | 3,429 | − |
2月 | 199 | 5,688 | − | |
3月 | 178 | 4,326 | − | |
4月 | 162 | 5,142 | − | |
5月 | 182 | 4,450 | − | |
6月 | 203 | 4,284 | − | |
物件絞り必勝態勢 80%台の高契約率を維持
首都圏全体の平均契約率は83.2%であり、前年同期の83.5%を0.3ポイント下回ったものの、好調水準をキープしている。これは、集客自体は全体的に減少しているものの、各ディベロッパーが歩留りアップに努め、東日本大震災後の市場下でも確実に売れる物件から供給したこと、さらには供給戸数を〝売れる戸数〟に絞り込んだ慎重な姿勢によるところが大きいと見られる。
平均価格は前年同期比+2.4%の4420万円であり、エリア別では、東京23区5112万円(前年同期比+4.7%)、都下4013万円(+同5.7%)、神奈川県4013万円(▲同1.6%)、埼玉県3668万円(+同2.6%)、千葉県3589万円(▲1.7%)と、「東京23区」及び「都下」での上昇が目立っている。その他は概ね横ばい推移となった。
首都圏新築分譲マンション平均市場データの推移直近データ
※ 投資用1R物件、定期借地権・借地権物件、公的物件を含んだ集計結果。 (但し平均契約率、平均完売率、平均価格、平均坪単価は公的物件を除く)
※ 首都圏=東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県
出典:「KOHKEN REALTY MONTHLY REPORTマンション編」
時期 | 供給件数(件) | 供給戸数(戸) | 事業主数 | 平均完売率(%) | 平均価格(万円) | 平均面積(㎡) | 平均坪単価(万円/坪) | ||||||||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1997年 | 2,306 | 74,398 | 489 | 29.4 | 4,290 | 69.07 | @205.3 | ||||||||||||||||||||||
1998年 | 2,525 | 71,203 | 472 | 27.5 | 4,071 | 69.39 | @193.9 | ||||||||||||||||||||||
1999年 | 2,669 | 93,778 | 469 | 36.7 | 4,076 | 70.48 | @191.2 | ||||||||||||||||||||||
2000年 | 2,713 | 102,752 | 509 | 40.5 | 3,930 | 72.50 | @179.2 | ||||||||||||||||||||||
2001年 | 2,739 | 96,809 | 486 | 40.1 | 3,918 | 74.48 | @173.9 | ||||||||||||||||||||||
2002年 | 2,976 | 99,156 | 463 | 34.5 | 3,887 | 74.58 | @172.3 | ||||||||||||||||||||||
2003年 | 2,846 | 90,921 | 414 | 38.3 | 3,911 | 70.72 | @182.8 | ||||||||||||||||||||||
2004年 | 2,938 | 99,952 | 415 | 36.0 | 3,952 | 71.31 | @183.2 | ||||||||||||||||||||||
2005年 | 2,660 | 95,601 | 371 | 38.4 | 3,875 | 71.96 | @178.0 | ||||||||||||||||||||||
2006年 | 2,449 | 84,870 | 336 | 39.4 | 4,063 | 72.22 | @186.0 | ||||||||||||||||||||||
2007年 | 2,243 | 69,646 | 309 | 35.7 | 4,402 | 70.50 | @206.4 | ||||||||||||||||||||||
2008年 | 2,138 | 59,227 | 304 | 30.7 | 4,321 | 69.71 | @204.9 | ||||||||||||||||||||||
2009年 | 1,875 | 53,070 | 276 | 33.2 | 4,170 | 68.79 | @200.4 | ||||||||||||||||||||||
2010年 | 1,979 | 53,720 | 214 | 34.3 | 4,386 | 68.28 | @212.3 | ||||||||||||||||||||||
2011年 | 1,868 | 50,718 | 196 | 31.3 | 4,451 | 68.33 | @215.3 | ||||||||||||||||||||||
2011年 | 1月 | 104 | 2,733 | − | 34.6 | 3,825 | 65.07 | @194.3 | |||||||||||||||||||||
2月 | 132 | 3,934 | − | 36.4 | 4,480 | 69.49 | @213.1 | ||||||||||||||||||||||
3月 | 143 | 4,620 | − | 33.1 | 4,429 | 70.63 | @207.3 | ||||||||||||||||||||||
4月 | 122 | 3,529 | − | 33.6 | 4,100 | 71.59 | @189.3 | ||||||||||||||||||||||
5月 | 165 | 4,838 | − | 39.4 | 4,376 | 62.83 | @230.2 | ||||||||||||||||||||||
6月 | 159 | 5,443 | − | 34.6 | 4,438 | 69.56 | @210.9 | ||||||||||||||||||||||
7月 | 178 | 4,597 | − | 19.7 | 4,920 | 71.46 | @227.6 | ||||||||||||||||||||||
8月 | 136 | 2,908 | − | 34.6 | 4,270 | 59.67 | @236.6 | ||||||||||||||||||||||
9月 | 174 | 4,038 | − | 32.4 | 4,471 | 68.22 | @216.7 | ||||||||||||||||||||||
10月 | 161 | 3,663 | − | 25.5 | 4,432 | 74.36 | @197.0 | ||||||||||||||||||||||
11月 | 186 | 4,633 | − | 25.4 | 4,358 | 63.16 | @228.1 | ||||||||||||||||||||||
12月 | 208 | 5,782 | − | 31.3 | 4,828 | 70.97 | @224.9 | ||||||||||||||||||||||
2012年 | 1,087 | 27,319 | − | 36.1 | 4,420 | 67.58 | @216.2 | ||||||||||||||||||||||
2012年 | 1月 | 163 | 3,429 | − | 43.6 | 3,844 | 60.77 | @209.1 | |||||||||||||||||||||
2月 | 199 | 5,688 | − | 31.7 | 4,616 | 67.82 | @225.0 | ||||||||||||||||||||||
3月 | 178 | 4,326 | − | 37.6 | 4,774 | 70.31 | @224.5 | ||||||||||||||||||||||
4月 | 162 | 5,142 | − | 33.3 | 4,369 | 71.63 | @201.6 | ||||||||||||||||||||||
5月 | 182 | 4,450 | − | 35.7 | 4,345 | 68.72 | @209.0 | ||||||||||||||||||||||
6月 | 203 | 4,284 | − | 35.5 | 4,405 | 63.91 | @227.9 | ||||||||||||||||||||||
坪単価も上昇
平均坪単価は前年同期比+3.4%の216.2万円であり、エリア別では、東京23区273.7万円(前年同期比+4.9%)、都下181.9万円(+同6.6%)、神奈川県189.3万円(▲0.2%)、埼玉県168.0万円(+同5.3%)、千葉県155.3万円(+同1.4%)となっている。
平均専有面積は前年同期比▲1.0%の67.58㎡であり、エリア別では、東京23区61.74㎡(前年同期比▲0.2%)、都下72.95㎡(▲同0.8%)、神奈川県70.08㎡(▲同1.4%)、埼玉県72.18㎡(▲同2.5%)、千葉県76.39㎡(▲同3.0%)となっている。
供給は年6万戸水準 先送りと前倒しで前年上回る
毎年年初に実施している「首都圏マンション市況アンケート」によると、デベロッパー各社の新規供給意欲は旺盛であり、12年の首都圏市場見解としては昨年を上回る『5万戸〜5.5万戸』予想が多かった。
また、(1)11年の供給先送り物件が多いこと、(2)分譲マンション新設着工戸数の増加トレンド、(3)消費税率引き上げに伴う駆込み需要対応(前倒し供給)も想定されることから、弊社では12年首都圏分譲マンション供給戸数を、昨年を上回る『6万戸』水準と予想した。
安心感広まる
12年の首都圏分譲マンション市場は、デベロッパー各社の耐震性能強化や防災・液状化対策、創エネ、蓄エネ、省エネ、自然エネルギー活用に配慮した商品への積極的な取り組みによって、消費者マインドも「マンションの安全性」に改めて安心感が広まり、特に春商戦注目の大規模物件や新規物件に関しては、来場・申込みともに堅調であったことから、関心度も例年並みに戻った印象がある。
一方で、中小規模の継続物件は昨年後半から続く「来場者の減少」傾向から大きな変化はみられず、また市場全体としても地元主体の集客にとどまっていることから、「二極化の進行」や「中・広域集客」が現状の課題となっている。また、2期以降の集客伸び悩みや新規来場者の検討期間長期化と歩留り低下も現場でよく聞かれる課題である。
大勢締める慎重論 消費税増で駆込みと反動も
12年の首都圏分譲マンション市場は、(1)供給増加、(2)集客の二極化(新規大規模物件と継続物件)(3)地元主体の集客、(4)価格上昇基調、(5)面積圧縮(グロス価格抑制)、(6)消費税率引き上げによる駆込み需要と反動といった市況トレンドによって慎重論が大勢を占める。一方で、〝例年〟に戻った消費者マインドや「耐震」「防災」「エネルギー対応」等の新機軸導入による「安心感」「信頼感」の広まり(様子見マインドの払拭)、低金利・住宅取得支援諸政策の継続等への「期待感」も内包され、先行き不透明感が増している。
今後の消費税率引き上げに関しては、過去の市況変動と現在の経済環境を考えれば、3%から5%に引き上げられた1997年同様、経過措置期限と施行時期をにらみながらの駆込み需要の発生と前倒し供給が想定される。
想定される駆込み需要(12〜13年)対策としては、(1)既存保有物件(用地)の前倒し供給に向けた、市場投入時期の見極め(優先順位や価格設定・商品企画策定)、(2)経過措置期限までの販売(契約)可能物件や、14年3月竣工(引渡し)可能物件の仕入れ強化(買取り含む)対応等が考えられる。
一方で、税率引き上げ後の反動(供給減と契約率低下)も懸念されることから、特に郊外ファミリータイプは税率引き上げ前の価格水準に合わせた事業収支の検討等、安易な価格上昇による市況悪化を回避する為にも、価格設定や商品設定に関してはより一層慎重な姿勢が求められる。
特に、「価格設定」に関しては、震災後の商品企画に対するユーザーニーズを検証した上で、ミクロなエリアマーケティングに基づいた需給バランスと需要分岐点(価格上限)の見極め等、これまで以上に消費者目線に立った慎重な姿勢が求められる。
商品トレンドと消費者マインド 「初期検討者」は7割超 消費増税で潜在需要に動き
東日本大震災以降、ディベロッパー各社は、マンション防災基準を強化・改訂するとともに、耐震性能、防災対策、液状化対策、創エネ、蓄エネ、省エネ、自然エネルギー活用に配慮した商品企画(ハード)を次々と打ち出した。
高まる要求水準
具体的には、(1)免震・制震・強耐震、(2)非常用自家発電機(エレベーター用自家発電設備等)・非常用電源確保、(3)太陽光発電システム、(4)家庭用蓄電池、(5)家具転倒防止対応、(6)防災備蓄倉庫の充実、(7)防災設備・システム(非常用飲料水生成システム、非常用マンホールトイレ、かまどスツール等)、(8)災害用井戸、入居者コミュニティ専用スペース等の導入が急速に進行している。
さらに、電力一括購入サービスや高圧受電、iPadを利用したエネルギー消費の「見える化」システム、「HEMS」(Home Energy Management System)の導入、電気自動車対応、カーシェアリング、「自助」「共助」の防災コミュニティ形成支援、地域コミュニティを重視したマンションコミュニティづくり、液状化対策マニュアル策定等、ソフト面でも消費者マインドと時代潮流に即した、耐震&防災+スマートマンション化への取り組みが本格化している。
消費者マインドは大震災をきっかけに「安全・安心」への意識が高まり、地盤の安全性や耐震性能、防災対策、エネルギー対策等、立地や商品企画に対する選別基準が変化するとともに、要求水準が高まっている。また、人とのつながりや「絆」を重視する住まい選びが進行しており、親族との近居ニーズやコミュニティに対する意識も高まった。
弊社が2012年7月に実施した『首都圏分譲マンションユーザーニーズアンケート調査』の主な結果は次の通りである。
●新築分譲マンションの購入検討状況
「具体的でないが購入予定がある」と回答した『マンション購入初期検討者』が70.8%を占めており、消費税率引き上げや買い時感の高まり等からようやく腰を上げた新規ユーザーが増えているのではないかと考える。
購入者の検討状況
東日本大震災から1年4カ月経過時点での「首都圏分譲マンションユーザーニーズアンケート調査」(インターネットアンケート調査) (弊社調査/2012年7月18日~20日実施)結果より
アンケート対象者は『現在、新築分譲マンションの購入を検討している人』400名。

47%が買い時
また、〝低金利〟や〝消費税率引き上げ〟〝価格の割安感〟を理由に「分譲マンションは買い時」と判断しているユーザーが47.1%いるのに対して、「わからない」と回答したユーザーも43.0%みられることから、初期検討者向けセミナー(消費税関連等)や住宅ローン相談会等のHow・toイベントで集客促進を目指すとともに、『マンション購入初期検討者』(=浮動票)の顧客化が今後の課題となる。
現在、分譲マンションは買い時だと思いますか?

「買い時だと思う」人、「どちらかといえば買い時だと思う」人に聞きました。 分譲マンションは買い時だと思う理由は?(複数回答)

●消費税率引き上げの影響
消費税率引き上げが「分譲マンション購入に影響を受ける」と回答したユーザーは55.3%であり、影響内容は、「消費税引き上げ前に購入したい」54.3%、「購入予算等の計画を見直したい」35.3%、「購入自体を見送りたい」10.4%であった。
消費税率引き上げは、分譲マンション購入マインドに影響を与え、駆け込み需要の発生が見込まれる一方、計画自体の見直しや消費税率引き上げ後の『反動』も懸念される。
「影響を受ける」と回答した人に聞きました。消費税率引き上げの影響で分譲マンションの購入の方針は、どのように変わりますか?

制震・免震は価格より重視
新築分譲マンションの購入を検討するにあたって、「立地」と「価格」以外の要素で特に重視する事項は、「耐震性能」が72.3%で最上位となり、以下、「日照・眺望・通風条件」48.8%、「住戸の広さ(専有面積)」47.3%、「間取りプランの使い良さ」44.5%、「セキュリティシステム(防犯)」43.3%、「防災設備や液状化対策」42.5%、「住戸の向き(方位)」40.8%、「入居後の管理・アフターサービス」40.3%と続く。
大震災後、耐震性や防災設備、防犯設備に対するニーズが高まり、管理・アフターサービスに対する意識も高まった。
また、価格が上がっても必要な設備・サービスは、「制震・免震構造」が82.5%で最上位となり、以下、「防犯カメラ」66.0%、「非常用発電機・非常用電源」53.3%、「長期アフターサービスと住まいの緊急対応(修理・修繕)」50.3%、「居住者用駐車場」48.5%、「防犯・防災システム」46.0%、「ホームセキュリティシステム」44.5%、「エレベーター用自家発電設備」44.3%、「災害用蓄電池」40.0%「防災設備(非常用飲料水生成システム、非常用マンホールトイレ、かまどスツール)」37.0%、「防災備蓄倉庫」35.8%と続く。
予算越えは5%以内
耐震性や防災・防犯設備等のハード系アイテムが上位を占める中、ここでも管理・アフターサービス関連項目が上位にランクインした。
「制震・免震構造」や最新の商品企画(ハード&ソフト)を採用した新築分譲マンションの購入を検討する場合、採用していない他の物件と比較した「価格上昇許容範囲」は、「5%程度まで」が57・3%を占め、次いで「10%程度まで」が25・5%となっている。
予算別では、6000万円未満のユーザーは概ね6割が「5%程度まで」と回答、一方で6000万円以上では「10%程度まで」が「5%程度まで」を逆転する結果となった。「価格」よりも「安全・安心」を重視し、「マンションの安全性」と「ディベロッパーの信頼性」が強く問われる結果となっている。
新築分譲マンションの購入を検討するにあたって、「立地」と「価格」以外の要素で 特に重視する事を教えてください。(複数回答)

市況回復へ今後の課題 ストックビジネスも積極化
分譲マンションの市場規模が急速に縮小してきた中、ディベロッパー各社では、これまでの新築マンション事業に依存しない事業構造転換が加速度的に進行している。
単身・DINKS層やシニア層(団塊世代)にターゲットを絞ったコンパクトマンション戦略、富裕層向け高額マンション戦略、さらには高齢者向け住宅開発や建て売り・注文住宅事業への新規参入、定借マンション事業の強化、タウンハウス事業、買取再販事業、ホテル・商業施設開発、介護事業、複合開発事業等、用地条件に見合った「新規事業」や、建替え事業、リフォーム・リノベーション事業、コンバージョン等の「ストックビジネス」に積極的に取り組んでいる。
また、戦略的な郊外展開や中国などの海外市場に目を向けたテリトリー拡大も大きな課題となっている。
少子高齢化や単身世帯の増加が進み、分譲マンション市場ではすでに単身、DINKS、シニア向け等、多様なコンパクト物件が台頭してきている。
分譲マンションの主ターゲットの変化によって、仕入れ戦略や商品戦略(間取りプラン、共用施設・設備の導入、ソフトサービス、コミュニティ形成など)や、販売戦略に関しても新機軸が求められている。
特に50〜60歳代の〝成熟世代〟をターゲットとした間取りプラン、商品企画策定が今後の課題と考える。
また、販売戦略面では、都心不動産の価格調整と賃料変動が小さく取引の透明性が高い東京の不動産市場への信頼によって、外国人投資家、特に中国を始めとするアジア諸国の富裕層等をターゲットとした新規需要獲得も課題となる。
必須条件と新企画を検討
迅速かつ力強い本格回復には、消費者にとって分かりやすい判断材料となる市場けん引物件(話題物件)の市場投入に期待がかかる。そのためにも、基本性能(耐震性能)、防災対応、エネルギー対応はもとより、(1)ハード(後付け出来ない設備や施設)と、(2)ソフト(コミュニティ形成支援等)において、何が有効で何を組み込むべきかなどの必須条件の検証や、「耐震&防災+スマートマンション化」に続く〝次〟の新企画(ハード・ソフト)へのチャレンジが今後の大きな課題であると考える。
東日本大震災をきっかけに、消費者マインドは耐震性等のハード面はもとより、地震や津波に代表される自然災害対策や危機管理・減災対策等、入居後のソフト対応(管理・アフターサービス)への関心も確実に高まっている。
一層の安心の提供を
マンション生活者の命を守る耐震性能はもとより、従来のアフターサービスや日常の維持管理に留まらない、(1)安全・安心のためのコミュニティマネジメント(組織化支援、地域防災、「自助」「共助」の自主防災支援)や、(2)もしもの時のリスクマネジメント(危機管理)やクライシスマネジメント(防災・減災対策)は、入居後の評価(顧客満足)だけではなく、新規需要の喚起に向けた分譲時の販売促進策として、今後一層重要な役割を担う。
ディベロッパー、管理会社、管理組合がこれまで以上に連携・一体となったマンションの安全・安心・快適な暮らしの仕組みづくり(入居後の「管理・アフターサービス」の充実とコミュニティマネジメント)が、ブランディング戦略に加えて、さらに「中古になっても資産価値が下がらない」ヴィンテージマンション戦略に大きく寄与し、確固たる信頼を獲得すると共に、優良ストック創出に繋がるものと考える。






















