紙上ブログ 不動産屋の独り言 856 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 20年続く顧客との奇縁 何やら境遇が似ているかも
住宅新報 2026年6月23日 号 6面

20年ほどの付き合いになるお客さんがいる。最初は母親が、借りていたマンションの家賃を滞納して、たまたま当社に家主が立ち退き交渉を依頼してきたのが縁。別の家主からの紹介だったのでむげには断れず私が窓口になった。と言っても、転居先が確保できなければ出ていってもらうことも叶わない。今も家賃を滞納しているのに他の物件なんか紹介できないが、当社で管理していた不便な場所にある古くて安いアパートの一室を紹介して入居してもらった。母親はそのことを恩に着て、長男の部屋探しを依頼してくれ、その長男から弟の部屋探しも依頼されることになった。
事情抱える親子
だが、その親子はそれぞれが問題を抱えていた。長男は売れない芸人。彼女と入籍するも家事など一切できない女性で、部屋はゴミ屋敷状態。たまらず離婚したが元妻はストーカーと化した。いきなり訪ねてきてはドアを叩いて大声で叫ぶ。次男も兄とは別の事情を抱えていた。そして兄とは別の当社管理物件に入居していたが、兄の元妻は鞍替えしてストーカーの対象が次男に変わった。それやこれやで私も大変な苦労をさせられたが、なぜか憎めない。不動産屋と入居者という関係はずるずると続いた。次男は兄の元妻から逃げるように退去し、母親も別の物件に引っ越した。今も当社の管理物件に残っているのは兄だけ。その兄が更新契約に来てこんな話をした。






















