紙上ブログ 不動産屋の独り言 851 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 「賃貸住宅管理業ではよくある話」後編 できる範囲の線引きは必要
住宅新報 2026年5月19日 号 6面

閉店後の夜に「鍵を貸してほしい」と依頼されたことは以前にもある。私が体調を崩して店を早く閉め、お風呂に入って寝ていたら、やはり夜更けに枕元に置いてあった携帯が鳴り、「鍵を会社に忘れてきてしまったみたいで部屋に入れない。鍵を貸してくれないか」とのこと。相手は30代後半の独身男性。私が「今日は体調を崩して早仕舞いしてもう布団に入っています。これから出ることはできません」と言うと、「これからお宅に伺うから店の鍵を貸してくれないか。私が鍵を探して部屋の鍵を開けてから返しに行くから」と言う。無茶苦茶な話だ。
病人もお構いなし
店を開けたとしても、どこに鍵が保管してあるかなど分かるはずがない。第一、分かったとしても、保管箱の中には他の部屋の鍵もあるのだから、何か事件が起きないとも限らない。真冬の夜中に病人をたたき起こして鍵を借りようとするような人間が信用できる訳がない。「鍵屋さんを呼んでください」と言ったら、「アンタが来るまで部屋の外で待っているから」と聞き入れない。らちが明かないので仕方なく店に行って鍵を届けた。私の家から店までの距離も、店から物件までの距離も徒歩5分で遠くはないが、体調が悪いし寒い。届けたら「すみませんでしたね」とは言うものの私の体調を気遣う言葉などなく、全く心がこもっていない。むしろ、管理会社はそれくらいして当たり前、という雰囲気。そんなだから、後日菓子折りを持ってお礼に来るなんてことも当然にない。






















